白い木蓮の花の下で ~逝くときは白い木蓮の花の下で~ 目次|過去|未来 【検索からお越しの方へ】
もう三十路だと言うのに……いっぱしの大人だというのに 私は「おこずかい」を貰ってしまった。 今日は向かいに住む1人暮らしの婆さまの訪問看護の日だった。 健康診断をしてもらったら、血圧が高かったとかで 念のために病院へ行くことになったのだが 婆様は足が悪いので、愛車のワゴンRで婆さまを病院へ送迎した。 なにしろ、私は失業者だもの。 こんなことでもして社会に貢献しなくちゃね……ってな感じである。 幸い、婆さまの血圧はたいしたことではなくて 掛かりつけの医院で薬をもらって、帰ってきた。 婆さまを自宅まで送り届けて「ぢゃあね」と別れるときに 婆さまは「これガソリン代」と、おこずかいを握らせてくれた。 私としては、そんなのいらなかったんだけど せっかくの気持ちなので、ありがたく喜んで頂戴することにした。 おこずかいを貰うなんて、実の婆さまが死んで以来のことだったし 実の婆さまは晩年、孫のことより自分のことで精一杯だったので 最後に「おこずかい」を貰ったのは、いつだったのか もう分からないくらい前のことだったので うかつにもウルッとしてしまうくらい、嬉しかった。 おもいがけず、人からそういう扱いを受けると ちょっと、ど~ゆ~反応をして良いのか分からないくらいに 嬉しくなってしまったりすることがある。 たとえば「これってお世辞……だよね?」と思うような そんな誉められ方をした時とか 今回みたいに、とつぜん実の孫みたく扱ってくれた時とか。 いっしゅん「おばあちゃん大好き」とか言って 抱きつきたい衝動にかられてしまったのだが それは、婆さまの実の孫がするべき領分なので また、いつか何かの形で気持ちを伝えられたらな……と思う。 失業17日目に起こった「感動したこと」を書いてみたところで 今日の日記は、これにてオシマイ。 |