白い木蓮の花の下で  

    〜逝くときは白い木蓮の花の下で〜

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2001年12月11日(火) 「同性」の親と「異性」の親

『菊次郎とさき』 ビートたけし 新潮文庫 を読んだ。

作者であるビートたけしがが「父・菊次郎」と「母・さき」
という自らのルーツになる2人の思い出を語ったエッセイ集で
シンプルだが「王道」的なエピソードが多くて単純に良かったと思えた。

俺は日本一のマザコンだと思う。
おふくろの通夜の晩にギャグでも言おうと思っていたのに泣いてしまった。
おやじに声を掛けてもらった記憶は無いが
笑った顔はいくつも思い浮かべることがでする。

などなど。とりたてて、どうこう言うほどのエピソードはなくても
「うん。そういうのって、あるよね」と言った感じ。
ビートたけしも、やっぱり人の子なんだね。以外と可愛いとこあるかも。
……と思った。

この作品に限らず「親を語る」エッセイは
「同性の親」を語るものより「異性の親」を語るものの方が
断然面白いし、艶っぽいように思う。
ゲイの作家さんが語れば
「同性の親」の語りが艶っぽくなるのかも知れないけれど
残念ながら、まだそのタイプの作品には巡り合っていない。
↑もし、ご存知の方がいらっしゃいましたら、教えてください。

幸田文が父の露伴を語った作品もしかり。
向田邦子が父を語った作品もしかり。
遠藤周作が母を語った作品もしかり。
↑たんに私の好みで3人あげてみただけです。

どんな人にも「親」がいる。縁が薄かろうが、濃かろうが、とりあえず。

親という存在は生まれてはじめて接する「自分以外の人間」なのだから
「それなり」の感情が芽生えるのは当たり前のことだと思う。
愛情だったり、憎悪だったり、人それぞれに形は違っているだろうけれど。
人間に対しての感情が芽生えるファースト・ステップなのだから。

親のことが好きだったり、嫌いだったり。
まぁ、色々とある訳で。
その時の状況にも、よる訳で。

ここ2、3日の間に私が味わった「イライラ感」と
どこか通じるところのある1冊で、値段と釣り合う
「まずまず」の1冊だと思った。


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