健一君は、次男が幼稚園に入って初めて仲良くなったお友達だった。
姉、兄の次に出来た末っ子で、今まで一緒に遊ぶお友達といったら
上の子の友達か、その兄弟と決まっていた。
親も、一から新しい関係を築くのが面倒でついそうなってしまっていた。
だから、幼稚園に入って初めて出来た自分だけの新しいお友達。
健一君は赤いほっぺをした、可愛い声の、優しい男の子。
お母さんも、静かで控えめでとても優しいお母さん。
私みたいに、子供を鬼のように怒ったりしない人。
お話してると、こちらまで優しい気持ちにしてくれる、
本当にあたたかな、春のお日様のような人。
あの日、家に遊びに来て貰って仲良く遊んで、
夕暮れの中、後ろに健一君を乗せて自転車を押しながら
帰って行った。
「ばいばい、来週また幼稚園で遊ぼうねー。」
手を振って帰って行った。
それきり、会うことはなかった。
二日後、阪神大震災が起こったから。
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