まつや清の日記

2006年01月15日(日) 「憲法改正と東アジア共同体への選択」という挑発的論文

 年賀状で「挑発的論文」を『現代の理論・新春号』で書きました、と日本女子大学教授の『国境を越える社会民主主義』翻訳で有名な住沢博紀さん。さっそく、その論文を読みました。確かに「挑発的」です。圧勝した小泉自民党と集団的自衛権と憲法9条改正を主張する前原民主党、公明党はずしの大連立構想の登場に、社民党軸の民主党内護憲派連携の第3極論が活発化しています。

 これに対して、9条の是非を問う政治争点に代わるものとして、改憲(9条+自衛隊容認書き込み)を容認しながら、それは自衛力の範囲にとどめ非核3原則を対置することを提唱。その政治的中心を小泉自民党に対抗する「中曽根保守改憲派+前原民主党」連合と位置付け、日米同盟を維持しながら東アジア共同体の構築し、小泉ーアメリカ連合を破綻せしめるというものです。

 9条に自衛隊を位置付けることは結果であって、それを至上目的にしてはならないとする住沢さんらしい主張です。日本国憲法を9条と象徴天皇制の二つに概観し、戦後民主主義の歴史の中に成果を位置付けているところにおもしろさがあります。しかし、自衛力は9条がそのままでも憲法論としては容認されます。

 集団的自衛権は安全保障法の成立させることで限定的に封じ込めるというものですが、果たしてそれは可能なんでしょうか。国連という枠組みがあれば、できるという主張です。私も、9条改正か否か、が日本の政治争点の最大のものとする主張だけでは、東アジア規模の共同体構想や安全保障論の形成が困難であることは理解します。

 この主張は前原民主党を9月の民主党大会で延命させるための戦略的政策提起と受け止めました。今日の新聞によると、6月までに安全保障論を含め前原政権構想をまとめ上げることができなかったら、代表選に出馬しないとする前原代表発言が報道されています。どのような政権構想かと思っていましたが、おそらくこの住沢さんの主張を採用するのではないかと思います。

 民主党代表選がどうなるのか、社民党がこうした東アジア的レベルでの安全保障論と東アジア共同体構想を打ち出せるのか、それとも緑の党という少数派勢力がこの論を作り上げキャスティングボードを握るのか、住沢構想への対案が必要です。確かに「挑発的」でした。さて、どうする?

明日は県議会県内視察です。

 


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K.matsuya

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