まつや清の日記

2003年12月08日(月) 決算特別委員会で反対討論

 反対討論の紹介です。
 これは原稿ですので、実際の本会議場では、かなり、アドリブ含めて変更になっておりますので、この原稿通りではありません。

 また、今日の一般質問・山村議員の空港推進の立場からの土地収用法など最近の知事の建設発言がトーンダウンしているとの質問に答えて、知事は「そんなことはない」と、土地収用法の状況説明を行いました。そのなかで「反対地権者が自由にものを言えない環境が反対運動の中に作られている」とした発言がありました。私は、討論のなかで「そんな事実はない、地権者は話合いを拒否していない、工事の一時中止、強制収用の放棄宣言という条件で話し合う姿勢がある。地権者の動向を正確に把握しないと空港行政の今後を見誤る」と指摘しておきました。

 下記の原稿は長いので無理に目を通さなくてもいいですので・・・。
 こんなこともやっているんだなと思ってください。

決算特別委員会反対討論

1、私は、無所属一人会派「市民の風」を代表しまして、議題になっております2002年度歳入歳出決算19会計のうち、一般会計歳入歳出決算、水道事業決算の二会計に反対し、17会計に賛成する立場から討論を行いたいと思います。

2、この02年度、知事は、第2東名など高速道路建設をめぐる道路公団民営化を進める小泉首相の構造改革路線とは、一線を画し、「抵抗派勢力」の立場を示し、一方で改革派知事として全国の知事と連携し、地方分権に向けてのリーダーシップを発揮された年としての知事に対する高い評価もあります。しかし、私は、02年度は、01年に知事の選挙公約であった静岡空港の住民投票という公約を反故にして、引き続き、県債残高2兆円越えないという財政再建公約を守れなかった年、そして、財務事務所ののプール金問題に端を発する特別監査にみられる監査機能麻痺など、県民世論の政治不信を増長させた年であったと受け止めております。

3、知事は、2兆円に迫る多大な県債残高批判に対しては、地方交付税で後年度措置があるとして借金は半分の1兆円、そして、02年、県債残高が、2兆円を超えることがハッキリするや、臨時財政対策債は地方交付税の一部、それを加えなければ、2兆円を越えない、と、その都度、屁理屈としか思えないような言い訳をして、つじつまを合わせて来ています。
今日の三位一体改革は、地方交付税特別会計の借入金残高が48兆円を超える段階にまできて、今までのような特別会計での借金に交付税措置は不可能である、という側面があるわけであります。48兆の返済、国と折半とすると、04年から20年、地方分は24兆円、人口単純計算で、静岡県分は、毎年600億円という分析も成り立つわけであります。

4、臨時財政対策債が作られたのは、もはや、特別会計で借金して交付税措置するというやり方では、国も地方もこの財政危機を突破できないということから、財政赤字がこれほど大変であることを自治体に認識してもらうためのものでもあります。臨時財政対策債は、本来国が負担すべき地方交付税の一部との立場表明するだけでは、問題が解決できない、そこまで国と地方の財政の危機が進んでいるわけであります。知事会では、鳥取県片山知事とその点で論争になっているとの報道もされております。

02年度決算、歳入 1兆2236億、歳出 1兆2046億、形式収支 127億10076万、実質収支 53億4408万、単年度収支 4億6127万の赤字、実質単年度収支 3億5575万

以下、二会計議案に反対理由を申し上げます。
1、財政再建が求められている中、静岡空港、大田川ダムなど無駄な公共事業の中止に向かわない02年県政であったということであります。知事が就任しました93年、10年前の財政力指数、82,9が02年度62,8、経常収支比率は、81,8が93,2、起債制限比率は、6,9が13,2と年々悪化しているわけであります。

静岡空港建設費は今年度、199億円余、空港建設繰越額が87億円余、大田川ダムで17億円余、02年度に中止しておれば、この計300億円余が、この中には、国の補助金、起債が含まれますが、この起債分だけでも減じるわけであります。残りの一般財源、100億余は、これからの新しい産業分野である福祉、医療、教育、環境分野に投資できるわけであります。静岡空港、ここまで、きたから、といいますが、02年度の段階で、残り760億円もまだ投資しなければいけなかったわけであります。その決断が遅れれば遅れるほど、無駄な投資になるわけであります。そんなことはない、と需要予測等検討委員会や戦略プロジェクト会議も開催されましたが、私も何度か傍聴いたしましたが、とても冷静な議論が、きちんと、需要や空港の採算について議論されているとは思えません。

先ほどの山村委員の質問に対する知事の地権者への発言ですけど、地権者が自由に意志決定できない環境が作られている、そう言う事実はありません、地権者は話し合いを拒否しているのではない、工事の中止と強制収用の放棄宣言を条件としている、山村局長の話合いの為の待ち伏せは、やめてほしい、正確に知見者者の現状を把握しないと、今後の空港行政を見誤りますので、一言、申し添えたいと思います。

2、公正で公平な県政をチェックする監査委員会がプール金など本来のチェック機能を果たさなかった02年度県政であったということです。静岡財務事務所の横領罪に基づく検察当局の逮捕に端を発し、1300万円の経費で、公認会計士を採用しての特別監査が、何ら有効なチェック機能を果たさず、熱海事務所職員の自主的な真相解明を除けば、今年に入っての沼津財務事務所の再度の逮捕者がでるまで、全容の解明がなされなかった、という事態は、大変、深刻な問題です。熱海事務所の問題では、代表監査委員の虚偽とも受け取られかねない、議会答弁もなされております。検察当局の厳しい姿勢にようやく知事がプール金の全容解明に乗り出したのが、今回の免責による知事部局、教育委員会部局の調査であります。驚くべきことに、決算特別委員会では、代表監査委員は、特別監査が、今回の特別調査の生み出したもので成果があったと答弁し、委員の方々から厳しい批判を浴びました。また、調査チームの室長は、前任職場で、「プール金の存在は知っていたが、使わないで、そのままにしておけ」と指示したとの発言もありました。

9月11日に02年度分までの全容調査が行われたことは、ご案内のとおりでありますが、現在までのところ、205ページに渡る知事部局報告書、教育委員会分もあります。その報告書の客観的証拠書類は、教育委員会で75%、知事部局では5%にも満たないという状況であります。告発されている自宅保管者に関しての預金通帳の資料もありません。公金は、どこに置かれていても公金だといいながら、その存在を明示する預金通帳は、ない、あっても隠しているのか、それはわからない状態です。それらを証明できるのは、調査班がつくっている個人メモです。これしか、客観的に説明できるものはありません。ところが、市民やマスコミの情報公開請求に存在しているにもかかわらず、不存在という取り扱いです。これでは,知事の「情報公開日本一」という公約は吹き飛んでいます。

10日、11日の常任委員会までに議会に調査チームがつくった個人メモを議会資料として提出していただきたい。

3、地方分権の受け皿として市町村の合併に県が積極介入していた02年度予算であるといことです。合併支援決算額は、1463万余であるわけですが、静岡県は、合併推進を自主性といいながらも旗振りの役割も積極的にになっているわけです。02年7月11日県議会は静岡市と清水市の合併を承認して、今年度4月1日に合併が行われ2年後の政令市に向けて動きが活発化しております。法定協議会で、最後までもつれた新市の名称問題、02年2月28日の第28回合併協議会で、清水市側委員が駿河市、静岡市側委員が静岡市、意見が真っ二つに割れ、同数であったものを、県が介入して静岡市になったわけであります。この決定は、住民投票による民意の把握も行われなかったことを併せて、後味の悪い合併となっています。

同時に、総務省が主導する「平成の大合併」の路線にとって、さいたまし市の合併に続いて大型の自治体合併という点で、県内は言うに及ばず、全国の合併推進に拍車をかけたわけであります。今、静岡市で起きていることは何かといえば、一市二制度という変則的行政が行われており、「サービスは高い方に、負担は低く」という合併原則が、まやかしであったことが、国民健康保険制度でのシステムの統一・値上げ問題として現れており、今後、水道、下水道料金の問題にも同様のことが予想され、合併とは市民にとってなんであったのかということが改めて問われております。

知事は、こうした合併劇の後を睨んだ内政制度改革が必要と自説を2月に打ち出し、この議会中にも議員への説明も行われました。合併の側面が、自主的に自治体の境界線を住民が決める側面と財政危機の中で総務省主導の強制合併の側面があります。自主的といいながら、1万人以下の自治体への強制力の発動はじめ、その本性も明らかにされつつあります。私は、その意味で、静岡市と清水市の合併はやはり大きな間違いではなかったかと、受け止めております。そうした意味で、私、知事の内政制度改革論に二つの疑問点があります。ひとつは、広域連合の活用と選択が積極的にあるなら、あえてわざわざ合併をしてまで政令市になる必要があるのか、という点であり、法律上は50万要件で政令市になれるわけで、堵市規模で存在する権限委譲問題を、これだけ法律の制約があってもそれを取っ払おうとする強い姿勢があるなら、あえて合併の必要はありません。もう1点は、この政令県、道、大都市圏の先にある国の形は、地方政府の連邦でであるのか、どうなのか、という点であります。これは、違った機会にまた議論をしたいと思います。

4、個人情報の保護に不安を残す住民基本台帳ネットワークシステムが、02年度に第1次持稼動している点です。決算段階で2億3544万の設備投資がなされています。既に利用回数は、8万を超えるといわれておりますが、長野県の侵入実験では、公表はされておりませんが、技術的にプライバシー保護システムが確立していない野ではないかという懸念が指摘されています。住民団体からも、何度も、中止の、あるいは、プライバシ保護体制に関する不安の声が稼動の延期要請という形で出されています。

5、東海大地震対策として原子力発電地震対策が何ら講じられていない02年度予算であることです。原子力安全対策費4億285万、防災対策費1億4820万、原子力発電施設等周辺地域対策事業費助成29億5200万余、特定周辺地域振興対策事業費6878万余、が決算で確定しています。木造住宅改造支援など全国先駆けという政策を確保しながら、原発震災震災対策に極めて無関心である点です。昨年の8月30日東京電力管轄原子力発電所のシュラウドのひび割れ事故がくしから、一昨年の浜岡原発一号炉の冷却系配管の水素爆発事故以降、老朽化と東海地震の切迫化の中で、一連の住民団体が、浜岡原発を止めようという2000人の仮処分原発訴訟がおきていますが、そこに参加する多くの人たちの失望は、県知事が、地方分権といいながら、原発は国の仕事として、建設に関しての許認可同意権限を持っているにもかかわらず、住民の側に立っていないということです。同じ沸騰水型の原発を抱える新潟県や福島県の知事との対応の違いはあまりにも大きなものがあります。

6、米軍基地、自衛隊基地を擁する静岡県を平和自治体の拠点として全国に情報発信する志向が極めて薄い県政であったということであります。東富士演習場について、日米共同訓練や沖縄県道104号線越え実弾射撃の分散・実施訓練に関わる使用協定の立会人に県が責任を持って関わっております。アメリカ主導で始まったイラク戦争に自衛隊派遣の基本計画が明日にも閣議決定されるという状況の中で、本会議での酒井議員への答弁では、イラク戦争の大義の疑義についても、憲法の9条の堅持や国連主導の安全保障論にも触れず、「安全な地帯から平和、平和を叫ぶ」と平和を願う人々を愚弄するかのような発言をされました。有事法制に独自の論を明らかにすると、自治体が有事法制化で国の下部機関になることに疑義を唱えている知事が、どんな国民保護法制論を展開するのか、注目もしていましたが、今後の基地対応政策に、不安を覚えます。以上で6点を述べて反対討論したいと思います。


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K.matsuya

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