もろもろ買物もあり。 子供達を妻の実家にあずけて西○へ。
車をとめて,店鋪まで1本の傘で歩く。 2本もぬらしたらもったいないからな。
「んー,なんか微妙にはみ出るなあ」 「やっぱ,幅がちょっと変わったから」
車幅じゃないですよ,妻幅。 どうやらこないだ健康診断で痛い目をみたので, ちょっと気にしているようだ。 もちろん気付いていましたよ。幅が増していることは。 恐くて言えませんでしたけどね。
僕は賢明だし,今までそれなりに経験を重ねているので, そうですね,気付いてましたなどと言ったりはしない。 黙って話を聞くのみだ。すると,
「昔はさあ,傘2本持っててもわざわざ1本で歩いたりしたよねえ」 「若気の至りだよねえ」 「ばかだよねえ」
などと,1人でべらべらしゃべっている。 会話を幅の話に戻さないためだろうか。 しかし,ふとエスカレーターの前で足をとめ,
「普段はいちごがうるさいから気が付かなかったけど」 「私ってものすごくうるさくない?」
そんなこたあ,十数年も前から気付いていましたが。 アナタ,自覚がなかったんでしょうか。
「いやあ,ちょっとはうるさいと思ってたけど」 「最近はあまりにも子供がうるさいから,自分までうるさくするとあまりにもなんで」 「自然と自制してたのかも」
自制…。 あれで…。
たしかに特に下の娘はきいきいうるさいので, 僕も妻まで目がいかなかったけど, それでもかなりうるさかったですよ?
「アンタ,また私に向かってうるさいって言ったね」 「この1か月で3回めだかんね」 「ちょっとひどくない?」
しまった。口がすべった。 僕の経験値もまだまだだな。 地雷はどこにあるかわからないというのに。 しかし,僕としては,この1か月で3回しか口に出してないことをほめてもらいたいくらいですよ。 胸の内ではもっともっともっと…。
まずい,話題を変えよう。
えーと,明日も雨みたいですね。 明日はどこにもでかけないんでしたよね。
「えっ」 「は。いやー,うそがつけないから言っちゃうけど,明日はエステ」
はい?
「なんだかここんとこ仕事いっぱいはいってるから,いっかなって」 「ほら,幅も変わってきたし」 「そうそう,これがまた怪しいエステでさあ…」
ぺらぺらぺら…。
今度はそのエステについていろいろ説明を聞かされる。 う,うるさい。 どうしたらいいんだ。 そうだっ。
で,それいくらなんです?
「…」
だまった…。
い,いくらなんだ。
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