今日は11時前に家を出なければならない。 それまでに、洗濯して身支度して掃除して子供のオセロの相手をするのだ。 あ、皿洗いもだ。
起きたらすでに8時。 妻が起きてきたのは8時半。 朝食をすませて9時。 ま、間に合うのだろうか。
まず皿洗いと洗濯物ほしだ。 次はそこそこまで身支度。 そして、そうじ。
掃除機を持ってドアを開けるたび、 ピュッと子供が飛び出してくる。 なんだか害虫駆除みたいだな。 そして、ダイニングテーブルにはいちばんのくせ者が。 なんでアナタまだパジャマで、しかも新聞なんか読んでるんですか。
「もー、だから何もしなくていいって言ってるのに」 「なんか朝から落ち着かないなー、もう」
そんなこと言って僕が何もしないででかけたら、 このまま夜になってしまうでしょうに。
「大げさな。昼ご飯は食べるからそれまでにはなんとかなるわよ」
そんなこんなでとりあえずオセロまでたどりつく。 あと20分だ。 1人10分。よし。間に合うな。
上のムスメに泣かれたりしてやや時間がおしたが、 なんとか予定の時刻に間に合いそうだ。 と、下のムスメがまとわりついてくる。
「おとーさん、行かないでー」 「おかーさんがおねえがいない間に恐いテレビ見るっていうのー」 「おとーさんがいない間にいじめるって言うのー」
「ほらほら。こんなに言ってるんだから連れてってやれば」 「この人切符入らないし」 「向こうについても団体だから、こんなのひとりくらい箱に入れときゃばれないし」
この後に及んでなんでそういうことを。 連れていきません!
「えーん。おとーさんのけち」 「ちっ。ほんとにけちだね」
ああ、もう出るまでにくたくただ。 とっとと出よう。
しかし、見送られて門をでてみるとなんか寂しいな。 箱に詰めて下のムスメだけでも持ってくればよかったかな。
お、いかんいかん。妻の術中にはまるところだった。 「1人」を楽しまなければ。
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