「ぎょえ〜」
妻が大好きなパソコンをいじりながら叫んだ。
「なにこれえ!」 「アダプターの先がゆがんでて入らない〜」
あ、ほんとだ。 パソコンへの差込口が曲がっている。
牛のようにもーもー言いながらペンチを持ってきて直そうとする妻。
「誰がやったの〜誰がひっかけたのよ」 「あっ」
ぎく。
「さっきあんたが変な向きでしまったからじゃないの?」
い、いや。 あなたと違って僕は細心の注意を払ってやってますから。 僕じゃないと思いますけど。 だいたい出しやすいからってキッチンカウンターの下になんかおいとくからでしょ。
そうしている間にもボルテージが上がってくる妻。
仕方ない。 直してあげましょう。そんな手つきじゃねえ。 ちょっと貸してごらんなさい。
ここが曲がってるのがもんだいなんでしょ。 よっと。
ばき!
・・・
ばき?
「ああーっ!」 「お、折れたあっ」
ちょうどつまようじの頭みたいに。 くびれのところから、ぱっきりと。 それは見事な折れっぷり…
「か、買うからねっ。もうどうしようもないもんねっ」 「おったのはあんただからねっ」
た、助けてやろうと思ったのにその言いぐさは。
「代替機としてあんたのWINはあずからしてもらうよっ」
子どもの風呂と寝かしつけは僕の仕事になりました… 今日は妻の番だったのに。
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