朝，妻からメールが入る。

「ブレーキが壊れた」

何っ。それはたいへんだ。
いや，しかし，あの人車には触れないはず。

あ…自転車か。
なんでそんなことメールしてくるんだ。

とりあえず電話を入れてみる。

「あっ。アンタ。また壊れたよ，あの自転車」

あー，やっぱり自転車ですか。

「しかも，また火曜日なんだよ。自転車屋はどこも休みだよっ」
「どーしてくれるのよ，マッタク」

いや，そう言われても。
で，どっちのブレーキが切れたんですかね。

「右」

右って…。そんなことを聞いてるわけじゃないんだけど。
前輪だな。
ま，前輪が聞かないと自転車はとまりにくいから気をつけてくださいよ。

「この自転車さあ，こないだもパンクしたじゃん」
「その前はチェーン切れたし」

ま，まあ重量オーバー…いや，古いですからね。
弟にただでもらったやつだし。

「そろそろさあ…」

ぞくり。
いやな感じだ。仕事中だから切りますよ。ぴっ。

油断ならないなあ。

しかし，帰宅すると妻がいろいろまくしたててくる。
これは，ボタンを押してもとまらないな。

「サイクリング車って今はあんまし売ってないんだね」
「マウンテンバイクはけっこう売ってるよね」
「折畳みもいっぱい売ってるけど，それ畳んでる人って見たことないよね」
「重いからかなあ，軽いのでも10キロくらいあるらしいもんね」

アナタ。
ネットで調べまくったね。
だめですよ。ブレーキ直してくださいね。

「けち…」