休みだというのに,目覚まし時計の音が。
おや,お出かけは昼からじゃなかったですかね。
「だってこのチャンスにうろうろしなくちゃ。うろうろ」
いつもは支度が遅いくせに妙に早いじゃないですか。 しかも,駅まで送れという。 アナタのその足は何のためについてるんですかね。
「誰のせいでこんな田舎に住んでると思ってんの」
がっ。 それは言わない約束だろ。 む。でも,まあ,仕方ない,送りましょう。
しかし,早くから支度していたわりには出ていったのは10時だった。 やれやれやっと行ったとほっとしていたら,20分後メールが。
「もうついた」
そんなこといちいちメールしてくんなよと思っていたら今度は電話が。
「ビーックビックビック…」 「あのさー」
アナタデパートに行ったんじゃなかったんですか。またそこかよ。
「うちってCD何枚ある?」
あっ。こないだからずーっと言っているあれを買うつもりだな。
「あのねー。10GBと20GBがあってね…」 「あ,そんなこと言ってもわからないか」 「2,000曲入るのと4,000曲入るのがあってね,どっちがいいかなーって」
どっちって2,000曲でいいに決まってるじゃないか。
「でも,1万円強で倍入るんだよ」
む。それは確かに。 では,正確に集計してお電話しましょう。 集計の結果,2,000曲のほうということになった。
しかし,また電話が。
「やっぱり無駄遣いかなー」 「ねね,贅沢品かなー。日本語入力ソフト買ったほうがいいかなー」
うるせーなー,もう。 せっかく子供が母のとこにいって静かだっていうのに。
いいんじゃないですかね。買っちゃえば。
「え,そ,そう?アンタがそう言うんならいいかな。うひひ」
プチ。と電話は切れてそれ以後かかってこなかった。
もちろんご購入なさったに違いない。
そして,夕方。 待てど暮らせど電話がかかってこない。 い,いつ帰ってくるんですかね。 迎えに行くと思うと落ち着かないんですけど。
すると,がちゃり。玄関を開ける音が。 し,しまった。うるさいからって携帯の電源切っちゃってたか? いや,入ってるじゃないか。
す,すみません。電話聞こえなかったんですけど。 先に謝ると,ご機嫌で。
「電話してないよ。雨も降ってなかったし,めんどうだったから歩いて帰ってきた」
しまった。なんで謝っちゃったんだ,僕。
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