表身頃のココロ
ぼちぼちと。今さらながら。

2003年11月05日(水) 「おばあちゃんの家」「北京バイオリン」

法人会員になっている飯田橋のギンレイホールにて二本鑑賞

◆「おばあちゃんの家」

予定外に見たこの映画、なんかいやなもの見ちゃったなぁという印象。
いや、結構泣いたんですけど。

忙しくて我が子に愛情を充分かけられず、しつけにも力を注がなかった(らしい)
母親が何かの事情で5歳の息子を田舎の母親にしばらく預ける事になる。
その家で我が物顔で傍若無人に振る舞う男の子。
その子を非難するでもなく、存在ごと受け入れるおばあちゃん。
腰は直角ほどに曲がり、まさに「あばら屋」と呼ぶにふさわしい家に住むよぼよぼの
おばあちゃんを見ているだけで泣ける人もいるはず。

話は、自分の事しか考えない都会の馬鹿孫が、田舎での生活を通じ、初恋らしきものや
友情を体験し、おばあちゃんの無償の愛に気づき、また都会の生活に帰っていくというもの。
舞台を逃げるに逃げられないド田舎の設定にしたのも姑息、おばあちゃんを口の利けない
設定にしたのも姑息、人物の造型も皆ステレオタイプ、いやだぁと思いつつ、
泣けたのは
ひとえにおばあちゃんのせい。

親や先祖を敬うはずの儒教の国も現在はその姿を変えつつあるのか。
で、その現状を憂い、この映画で啓蒙でもしようというのか。

あー、いやなもん見ちまった。

◆「北京バイオリン」

いやーな気持ちになったそのすぐ後で始まった「北京バイオリン」。
美しく奥行きのある映像で、いきなり右脳が回復。
ハリウッドへ行ってボロがでたな、と思ってしまったチェン・カイコーだけれど、腐っても鯛(ん?)。
昔ながらの人情話としてはうまくまとまっていた印象。

息子のチュンは瑞々しく、父親は人情話にぴったりの演技で功労賞もの。
この父親、調べてみたら、張藝謀作品の「秋菊の物語」の夫役の人らしい。
「秋菊の物語」小品ではあるが、プロが作った大人の寓話として最大級の賛辞を送るね、私は。

チェン・カイコーさんに言いたいこと・・・。
独特の美意識の持ち主ではあると思うが、紗の入った光とか鏡とかをいまだに使うのは勘弁して下さいー。それと、ナルの入った自分のポートレイトを作品に入れるのもやめて下さいー。というか、演技者には向いていないですー。監督の出演シーンからどんくさい素人のオーラが出ていますー。どうぞ正気に戻って下さいー。


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