Howdy from Australia
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日本語教育の修士取得を目指し渡豪した当初、長くても2年から3年で引き上げる予定だった。そのはずが、オーストラリアに魅せられ、まるで帰国する日を一日、いや一分、一秒でも延ばそうとするかのように、文系から理系に進路を変えて学士を取得し、さらには大学院に進学。ついこの間までは「論文さえ終れば日本に帰ることができます」とか、「来年の誕生日は一緒にお祝いできますね。楽しみにしています。」などと家族に宛ててメールを書いていたのに、永住の方向へ気持ちが傾く。
思い返せば2003年4月、ハーバークルーズで友達の友達である日本人留学生を紹介された時のこと。大学で日本語教育の1年コース(graduate diploma) を取り始めたばかりの彼女たちに、日本語教師を一度は目指していたものとして興味があり、コースについて尋ねたのだが、返ってきたのは
「全然だめなんです〜」
という答え。
驚いて思わず聞き返してしまったのだが、よく聞いてみると、講義内容や実習に問題があるからというのではなく、移民法の改定に伴いそのコースを修了しても永住権が申請ができなくなってしまったため、「全然だめ」ということが判明した。永住権取得が留学の目的になるなんて、それまで考えたこともなかった。(ちなみに彼女たちは移民法改正時にすでに就学中であったことから、永住権を無事に申請することができたそう。)
日本帰国後の自分の姿を思い浮かべる。
オーストラリア生活を懐かしく恋しく思う毎日?
例え永住できても選挙権のない自分を想像する。
就職は?どうあがいても克服できない言葉の壁は?
日本にいる家族は?老後は?将来の子供の教育は?
その後の人生を大きく左右する決断ゆえ、そう簡単には答えが出ない。でも、職業経験が問われずに永住ビザに申請できるのは卒業後6ヶ月以内だけ。つまり、この機会を逃すと、永住権取得は限りなく難しくなってしまう。
それだったら、もらえるものはもらっておこうかな
それが始まりだった。
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