コラム 金財茶房 〜 投資のゴマはこう開け!〜


2006年11月17日(金) 分散投資のスピリット


こんにちは、カン・チュンド です。

パン屋さんは、

「やっぱり小麦粉が大事なんだ・・」
と言います。

投資アドバイザーは、

「とにかく長期投資です・・」
と呟きます。

(まあ)ひと口に 長期 と言っても、

その座標軸は所詮
「人が生きる長さ」です。

(誰が 150年後の株式市場のことなど気にするでしょう!)

(正直言いまして)私たちは
200年、300年という「市場のデータ」を持っていません。

例えば、この50年
いちばの調子が良かったのは

(もしかしたら)
ほんの偶然 に過ぎないのかもしれません。


また、私たちはあらゆる手段を駆使して
【未来】を予測しようとしますが、

それは(やはり)予測に過ぎないのです。

【これから先、何があっても不思議じゃない】
というのが、

(おそらく)未来の本質 なのですね。

別の言い方をすると、
【これから先どんなことでも起こり得る】から、

「未来には可能性がある」と云うのです・・。


(はあっと ため息をつきながら)

資産運用 とは、
かくも不確実な「未来」に賭ける行為です。

私たちは
そんな「不確実な未来」にしばしば嫌気がさし、
あるいは耐え切れず、

早急に「ひとつの答え」を求めようとします・・。
(それも半径50センチの思考の中で!)

考えてみますと、
リスクだらけの未来に対して、

早急に「ひとつの答え」を求めようとすること自体、
とてもリスキーですよね(笑)

(でも 本人はそれに気づいていない・・)

(突き詰めて言えば)

資産運用 とは、
リスク について考えることであり、
リスク を飼い慣らす作業そのものなのです。

そして時には、

そのリスクが実際に「発生」してしまったりします。
(とてもドラマティックに・・)

メディアや国家や専門家が予測した
「華やかな理論」は 一瞬にして崩れ落ちるのです。

(もちろん、
 よい意味での「予想外」も起こりますが・・)

植木屋の職人さんが、

「へっ、資産運用なんてのは、
所詮予想屋稼業 じゃあねえか・・」

と言われるのにも 一理あるのです。


わたくしカンは、

「今から20年後に
ダウ工業株平均がいくらになっているかなんて、
ハンセン指数がいくらになっているかなんて、

皆目分かりません!」

と言います。

期待リターン とは、
一介の個人、団体が予想する
リターンの「平均値」に過ぎないのですから・・。

またわたくしカンは、

「今から 9ヵ月、10ヵ月後に
マーケットが上がっているか下がっているかなんて、
まったく分かりません!」

と言い切ります。

なぜなら、

長期の予想が困難なのと同じくらい、
短期の予想も困難と考えるからです。


投資アドバイザー とは、

砂粒 を集めた程度の情報から、
長期の予想を導こうとする 儚い生き物なのですね。

それでも 大きな果実 を目指して
投資というボートを漕ぎ出せるのは、

【ポートフォリオ運用】という
人類の知恵があるからですよ・・。


私たちの先達が、
今よりもずっと過酷な状況に直面し、

リスクの塊に圧倒されながらも
未来に向かって漕ぎ出していった
そのスピリットを、

私たちもどこかで持っているからです。


ユダヤ教の聖典「タルムード」には、

「富は常に三分法で保有すべし。
 すなわち1/3を土地に、
 1/3を商品に、残る1/3を現金で」

と記されています。

(んー、分散投資のスピリットは、
遥か何千年前から 受け継がれているのですね・・)


皆さま、素敵な週末をお過ごしください。


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