コラム 金財茶房 〜 投資のゴマはこう開け!〜


2005年09月09日(金) サッチャーの法則


こんにちは、カン・チュンド です。

間もなく 同時多発テロ事件 から4年を迎えます。

アメリカでは、テロ事件発生前と後では、
社会の有り様 が変わってしまった とよく言われます。

本日は、
わたしが2001年に綴ったコラムを編集してお届けしましょう。


( 2001.09.13 金財コラム より )

アメリカを、かつてない規模のテロが襲いました。

さまざまな情報が錯綜していますが、

わたしは 資産運用の専門家 ですので、
その視点から「冷めた目」で 考察 を加えてみたいと思います。

まず ニューヨーク市場 はその再開後、
一時的に大きく調整すると思われます。 

その影響が
世界のマーケット に波のように押し寄せる恐れがあります。


しかし、それは一時的な現象になるのでは、
とわたしは考えています。

確かにアメリカの金融の中枢、国防の中枢に
危害が加えられたことのインパクトは大きいです。
 (物的、人的被害という両面で、)

ただ、経済のインフラ に与える影響は限られると思います。

各企業、官庁、公共施設は、
データベースのバックアップを行っています。

(知的資産 に対する影響は軽微なのです・・)

そもそも インターネット というものの「発想」が、

現実社会(リアルワールド)に想定外の 危害 が加えられた場合に、
その影響を 最小限 に抑えるため、

もうひとつの社会(サイバーワールド)を作っておこう、
という 考え によるものなのです。


いちばん心配なのは、アメリカの人々の 精神的ショック です。 
しばらくは外出を控える、飛行機にも乗りたくない、

旅行をしたり、おいしいものを食べに行ったり、
という雰囲気ではなくなるでしょう。 

個人消費に与える 影響 は大きくなる可能性があります。


市場 対 国家」(ダニエル・ヤーギン ジョゼフ・スタニスロー 著
日本経済新聞社)という本の中で、

イギリスの元首相 サッチャー氏の
【サッチャーの法則】が紹介されています。 

氏が1982年の「フォークランド紛争」を経験した際に
学んだこととされていますが、

それは、

◆【予想外のことが起こる】 というものです。


予想外のこととは、テロに限らず、異常気象、自然災害、食糧危機、
エネルギー危機、人的災害、環境汚染、ウィルス発生、地域紛争、
暗殺、戦争 など、

あらゆることが想定されます。

その「予想外」が起こった時に、
パニック に陥らず、事態の本質 を見極める。


短期的な影響よりも、その事態が 経済の、社会の
基礎的条件(ファンダメンタルズ)をも、変えてしまうものなのか否か?

これを見極めることが大切なのです。

資産運用 に携わる者としては、
常に【サッチャーの法則】を 頭の隅に置いておかねばなりません・・。



( 2001.09.19 金財コラム より )

  公共財としての「いちば」


株式市場 とは、

そこに上場するさまざまな 企業価値 を決定する、
公共の「いちば」です。

「いちば」で 正常な取引 があってはじめて、私たちは、
A会社の株価は今、○○円だ、また、
○○円に上がった、下がった という情報を入手できます。


その情報には「客観性」「信頼性」が求められますから、
「いちば」には、

1 誰でも公平に参加できる
2 多数の売り手、買い手が存在する
3 公正な取引が、厳格な法整備によって保証されている

という 特徴 がなければなりません。


多数の売り手、買い手が存在する、ということは、
「いちば」の 流動性 が確保されている、ということですね。


皆さんご承知の通り、先日 ニューヨーク市場 が
ほぼ1週間ぶりに取引を再開しました。

取引開始前に犠牲者を悼んで、
2分間の 黙祷 が捧げられました。

その後、ベルを鳴らす前に
God Bless America が斉唱されたのです。

わたしはCNBCのライブ中継で
その様子を見ていたのですが、
厳かな雰囲気にしばし心を奪われてしまいました。


God Bless America は、第二次世界大戦が始まる直前の1938年に、
Kate Smithという歌手によって歌われ、

アメリカ国民の間では 国歌 に匹敵する意味を持つ歌なのです。

その歌が、証券取引所 で歌われている・・。

株式の取引を司る、公共の場所・・、

その インフラ を築き上げてきたのは我々なのだ、
というアメリカ人の強烈な【自負心】を垣間見ました。

また、

◆ 国民の財産として 公正な市場(マーケット)を持っている

アメリカ人の「誇り」も感じました。


(断っておきますが、)

株式市場という「いちば」は、誰の味方もしません。 
また、ナショナリズムに対する過度な肩入れは、時として 危険 です。

それでもなお、

早期の取引再開にこぎつけた市場関係者には
敬意 を表します。

その日のマーケットは、
半ば「下がることが当然視」されていましたが、

大切なことは、

(そうです)

「いちば」が開いている、ということなのです。



       原点に還ろう....★

   投資 をギャンブルとは呼ばせない!

科学的アプローチを用いた、もっとも 合理的な投資手法 である
【インデックス運用】こそが、資産形成のいちばんの近道です・・。

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