昔の事を思い出した。
彼と付き合い始めて1年位の頃だったと思う。 あるステージを見て泣いた事がある。
勿論彼のステージ。
それまでは、数える程度の客数しかいなくて あたしもバンドのファンを把握出来た程。 なのに、その日のステージからいきなり客数が増えた。
ハコの一番後ろから、スタッフのコと一緒に見てた。
凄いな。と思った瞬間、物凄く哀しくなって泣いた。
急に、彼が遠い存在になってしまった様な錯覚に陥ったから。
沢山の女の子や男の子の声援や照明を浴びて 広いステージで動いてる彼は、「あたしの彼」では無かった。確実に。
あたしはその気持だけは今でも忘れなくて、未だにライブに行く時は 「イチファン」と云う立場で行く事にしている。 彼に言うと「お前、ファンじゃねえだろ」と返されるのだけど あたしの中では、ステージに立つ彼と普段の彼は別物だからそれで良い。
あたしが土足で踏み込むのを許されてるのは素の彼でいる時だけだから それだけは忘れ無い様にしている。
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