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2004年06月17日(木) 1年前のこと


ふと、1年前のことを思い出しました。

ちょうど、彼と別れていた時のこと。
“都合のいい女”に成り下がっていた時のこと。

私は当時、彼以外に情熱を傾ける相手がいました。


それは、子猫。

母屋に住み着いた猫が産んだ猫。


ある日曜日の朝、おばあちゃんが私を呼びにきた。

「ドラの子が死にかけてるから、ちょっと見てやって」


真っ黒で、とてもとても小さな子猫が、苦しそうに震えていた。

目が目ヤニで塞がり、鼻も膿のようなもので塞がっていた。
母猫の居場所がわからず、動けなくなっていた。

私は急いで、犬の耳掃除用にと買っておいた
赤ちゃん用の濡れコットンを持ってきた。

とにかく、鼻を通るようにしてあげないと。


数十分かけて拭き、なんとか少し息が通るようになった。

家族がみんな口をそろえて
「もうこの猫はダメだね・・・。
 最後に少し楽にしてもらって、良かったじゃない」
という。


なぜそんなこというの?
まだ生きてるのに。
楽になって、生きられる可能性も大きくなったんでしょう?
なぜ?

よく行くショッピングセンター内に
休日でもやっている動物病院がある。
そこに連れて行こう。

診断は、猫風邪だとか。
ブドウ糖を投与してもらった。

それから何度か、愛犬のかかりつけの獣医さんに診てもらった。

一度、意識不明に陥ったものの、なんとか乗り切った。

早朝、昼、夕方、深夜と、頑張ってミルクを作って与えた。

そして子猫・クロは、奇跡のように快復した。
缶詰の離乳食を食べ、走り回り、猫じゃらしで遊ぶ。
私の足元に、ちょこちょこと付きまとう。

クロがかわいくて仕方がなかった。


ある日、仕事から帰ってくると・・・

クロを住まわせていた離れのプレハブに、
クロの吐瀉物がたくさんあった。

サークルからどうやって抜け出したのか、
窓際にちょこんと座って、風にあたっていた。

夕方の診察に駆け込む。
そしてそのまま入院。

翌日、獣医さんから電話がかかる。
「一度、見にきてやってもらえるといいんですが」

私は断った。
獣医さんの口ぶりで、もう助からないのだと思った。
痛々しいほどに弱ったクロを見たくない・・・・。


2日後・・・

「クロちゃんは、残念ですが・・・・」
獣医さんからの電話。


クロは、いなくなった。

あんなに元気になっていたクロが。


翌日、おばあちゃんと一緒に、亡骸を引き取りにいった。
そして、近所の空き地の、木のそばに埋めた。
2人で、大泣きしながら埋めてやった。

冷たく、硬くなっていたクロ。
本当に、もう動かないんだ・・・。

原因は、猫汎白血球減少症という、伝染病。
クロは生まれつき弱っていて、母乳を飲まなかったので
免疫力がなかったのだそうです。


わずか1ヶ月の生涯を終えたクロ。
みんなは「これだけしてもらって、クロも幸せだったよ」
そう言ってくれた。
だけど私は後悔でいっぱいでした。

あれもしてあげればよかった
もっとこうしてあげればよかった。

だけど、最後に見に行かなかったことだけは
後悔していません。
クロは寂しかったかなぁ?
クロ、ごめんね・・・・



クロに会いたい。

クロだけじゃない、
高3の時に亡くした愛犬コロにも、
21歳の時に亡くした野良愛猫タマにも、
無性に会いたい。

みんなのいるところに行きたいなぁ。



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