2003年02月19日(水) |
中学野球(2) 交歓会金沢大会の始まりと今 |
毎年3月下旬、石川県金沢市で「中学野球交歓会金沢大会」が開催されている。昨年は全中優勝経験を持つ東海大一中(静岡)、鹿島中(兵庫)、星稜中(石川)など、全国から約30校が参加し、3日間かけて各チーム6試合のオープン戦が行われた。
先日、東林中の練習試合を見に行ったとき、金沢から研修のために上京していた山岸昭彦先生(珠洲市立宝立中学野球部顧問)とお会いした。山岸先生は金沢大会の運営委員を務めている。 「交歓会は、山本先生(当時星稜中、現遊学館監督)と弓桁先生(静岡・東海大一中)が中学野球を盛り上げようという意図で、平成7年に開催されました。その前年に札幌で行われた全中の準決勝で、星稜中と東海大一中が対戦したんですが、前日に『明日の結果がどうなっても、来年から交歓会をやろう』とお二人で話し合って決めたそうです」 3月に山本先生の主宰で金沢大会が、8月下旬には弓桁先生が主導となり静岡で「中学野球交歓会静岡大会」を行うことが決まった。昨年の静岡大会には星稜中や桐蔭学園中(神奈川)など県外25チーム、県内33チームの計58チームが参加した。 第1回から8年。札幌での想いが、全国に着実に広がっていった。
だが3年前、金沢大会を企画した山本先生が遊学館の野球部監督に就任。石川の中学野球、全国の中学野球をリードしてきた山本先生が高校野球へ指導の場を移した。山岸先生に、そのことを訊くと、間髪いれず答えが返ってきた。 「あまりにも大きな痛手です。山本先生が高校野球に移られたのは、石川の中学野球にとって、大きな損失です。私も含めてですが、みんな『星稜中・山本先生』を目標に、チームを作ってきました。その目標がなくなってしまうわけですから」 山本先生の抜けた星稜中は依然、強さを誇っている。昨年の全日本では、ベスト4入りを果たした。それでも、「やはり山本先生のときとは違う」という。「ある意味で、カリスマ的な存在でした」と寂しく言った。
山本先生が遊学館へ移ったあと、山岸先生が胸に抱いたことは、 「『山本先生がいなくなったから、石川の中学野球のレベルが落ちた』とは言われたくない」 石川県の中学は、間近に星稜中という全国レベルのお手本がいたことで、切磋琢磨し、レベルアップをはかることができた。ほかの中学も全国で実績を残しており、山岸先生は前任の緑丘中で99年に全日本大会3位に輝いている。 「だからこそ、交歓会に大きな意味がある」と話す。「全国から強豪校が来て、それぞれの特色のある野球を見せてくれる。そういったチームを見ること、試合をすることで、石川の中学野球が発展していく。何年続くか分からないが、交歓会を続けていきたい」
今年の交歓会は、3月27日から29日まで行われる。北海道から、札幌東栄中が参加する。
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