みのるの「野球日記」
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2002年10月14日(月) マリーンズ応援団

 7回表、2死二塁。カブレラが打席に歩を進めようとしたとき、一塁ベンチからマリーンズの小野ピッチングコーチが出てきた。小林宏ー里崎のバッテリーを中心に、マウンドに輪ができる。1分半ほどの話し合い。3万2千人の観客が、ざわついた。

 話を終えた里崎がキャッチャーの位置に戻る。座らず、立ったまま。球場全体から、言葉にならない罵声、怒声が里崎に向けられた。

 数秒後、里崎は腰を下ろした。ミットを自分の身体にグイッグイッと近づけ、「思い切って投げて来い!」と小林宏に合図を送った。

 勝負の意思が見えた瞬間、ライオンズファンはもちろん、マリーンズファンからも、大きな拍手が送られた。

 カブレラの応援が始まる。ライトスタンドに眼を向けると、マリーンズ応援団も、トランペットの音色にのり、応援をしていた。どういう感情で応援していたのかは分からない。でも、見るものの気持ちを暖かくさせる光景だった。

 カブレラは、今シーズン最後の打席を、持ち味であるフルスイングで締めた。フォークを3球。全てボール球だった。 

 小さくガッツポーズをしたマリーンズバッテリー。ライトスタンドの応援団は、カブレラに向けた以上の大きな大きな拍手をしていた。
 
 
 試合終了後、ライオンズ応援団がマリーンズファンに向けて、エールを送った。今シーズン、これが最終戦となるライオンズ。残り2試合を残すマリーンズへのエール、来季の健闘を願うエールだった。

 マリーンズ応援団もそれに応えるために、エールの準備をし始めた。団長とおぼしき人が音頭をとる。

「がんばれ、がんばれ、ライオンズ!」

 ライオンズの倍以上の声量だった。

 最後まで残っていたレフト側、三塁側の観客から、この日一番とも思える拍手が沸き起こった。

 日本中が注目した、カブレラの今シーズン最終試合。「日本一の応援団」と評判のマリーンズ応援団が、素晴らしき舞台を演出をした。

 「12球団で一番の応援団はどこか」と訊かれれば、私は間違いなく「マリーンズ」と答える。


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