加藤のメモ的日記
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2015年05月07日(木) 寝たきりの分岐点 ��

寝たきりは「なる」ものではなく、「つくられる」ものだという。意外なところでその分岐点は訪れる。「あのとき、こうしてばよかった」と後悔する前に、知っておいた方がいいこととは。

―ちょっとした「選択ミス」があなたと家族の人生を大きく変えていく

高齢者の体調が急変したとき、自宅で様子を見るか、すぐ病院に行って検査を受けるか。今思えば、その選択が分岐点だった。埼玉県に住む谷口和宏さん(仮名・76歳)の娘は、そのとき「すぐ病院に行った方がいい」と判断した。「昨年11月、食事をして2時間ほど経ったときでした。突然、父が嘔吐したんです。風邪をひいていたわけでもなく、それまではいたって元気だったので、もし何かあったらどうしようと不安になって、救急車を呼びました」

近所の総合病院へ連れて行くと、医者から「高齢ですし、念のため入院して検査しましょう」と告げられる。その日から一週間の入院となった。「検査しても大きな異常は見つからなかったのですが、退院してから父はほとんど食事を摂らなくなりました。嘔吐してまた入院するのを恐れていたようです。ですが、何としても食べてもらいたかったので、私が介助して食事をさせるようにしました。すると自分でできることが減っていき、トイレにも行けなくなり、布団の中で過ごす時間がどんどん増えていった。2ヶ月半で完全に寝たきりになってしまったんです。あのとき病院へつれて行かなかったら、こんなことにはならなかったでしょうか……」

彼女はこう言って肩を落とした。「寝たきり」は脳卒中や骨折などが主な原因として知られている。早期からリハビリに取り組むことが重要だが。リハビリには大きな苦痛を伴う。この場合、「つらいから安静にしておく」か「無理をしてでもリハビリに取り組む」かが、「寝たきりの分岐点」になることは、よく聞く話だ。

しかし、これ以外の思いがけないきっかけが「寝たきり」につながることも多い。福島県立医科大学医学部の公衆衛生学講座教授・安村誠医師はこう話す。「実は、寝たきりや重度の介護が必要となった高齢者の4人に1人は、とくに怪我や病気をしたわけではないのに、徐々に寝たきりに進行した人たちなのです」

前述の谷口さんのケースがこれに当てはまる。「念のために」と入院させたことが裏目に出て、寝たきりになってしまった。入院中はほぼ一日中ベッドの上で過ごすため、筋力が急激に衰えることが原因だ。「年齢とともに体力の回復能力は衰えてきます。80歳以上になると、寝たまま過ごすことで1日に2%の筋力が低下するといわれています。もともと筋力が衰えている高齢者が、入院すると、あっという間に寝たきりになってしまうのです」(新田クリニック院長の新田邦夫医師)このデータから考えれば、1ヶ月も入院すれば、筋力は半分以下になってしまうことになる。一度寝たきりになると、元の状態に戻ることは極めて困難。そこから、終わりの見えない長い介護生活がスタートすることになる。


『週刊現代』2.28


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