加藤のメモ的日記
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年金額15万円の落とし穴
■ 制度所の問題もありますよね。
○ はい。生活保護を受けるためには、親族に扶養能力があるかどうかを調査してからということになっています。そのための「扶養照会」は三親等以内の親族に対してなされます。つまり厳格に運用されれば、兄弟姉妹や叔父叔母・甥姪はもちろん、配偶者側の兄弟姉妹や叔父叔母、子供や孫、ひ孫らの配偶者にまで知られることになる。生活保護を申請しようと福祉事務所に行ったら、まずそれを説明されるため、「そんなに遠い親戚にまで連絡されるなら、生活保護なんて受けたくない」と高齢者は躊躇してしまう。他人には迷惑をかけたくないと思いますからね。
■貧困状態にある高齢者というのは、いろんな事情で家族や親族と疎遠になっている人が多いわけです。極言すれば高齢者の貧困問題は、生活保護を受けてもらうことで解決できます。ですが、これから問題になってくるのは、中小企業に勤めていたサラリーマンなど、定年後の収入も生活保護水準以上にある人ではないでしょうか。
○そうなんです。サラリーマン時代にあまり給料が多くなかった人は、厚生年金の額が15万円以下という人が多いんですが、この程度の収入があると生活保護の給付対象にならないケースもあります。受け取る年金は報酬に比例し、現役世代の収入の5〜6割に設定されています。たとえばモデルケースとして、月収30万円の人は引退後、65歳以降に月15万円以下で暮らしていかないといけない。このラインの人の生活水準は、おそらく生活保護レベルよりも低くなる可能性が大なのです。なぜなら、生活保護の人は税金や健康保険・介護保険の保険料も免除になる。医療費も実質的に全額免除です。比べてみると、生活保護レベルの少し上の層が最も生活が厳しいというのが現実なんですね。
■サラリーマンとして定年まで勤めたし、年金ももらえるから大丈夫だと思っている人ほど、リスクが高まる可能性があるということですよね。こういう層にまで生活保護のセーフティーネットを広げられればいいけれど、財源の問題もあるので実際問題難しいでしょう。 例えば、生活保護を受けていなくて収入が一定以下の人に対しては、健康保険料・介護保険料を免除し、医療費も無料にすることも一つの方法かもしれません。
○高齢者が貧困に陥る最大の原因は、病気と介護なんです。無料低額診療施設もあるんですが、この存在はあまり知られていません。そういう中で、結城さんがおっしゃるように医療費や介護費の負担が減れば、高齢者は楽になりますね。
■老人の貧困は表からは見えにくい。でも隠れている貧困高齢者をどうにか見つけ出し、福祉サービスに結び付けていくことが大切です。そうしないと本当に社会秩序が崩壊してしまいます。
○高齢者の貧困問題を解消するためには、若年層の雇用問題もどうにかしないといけないですよね。非正規雇用ではなく、若者が安定的な生活を送れるような雇用環境を整えていかないと、彼らが頼っている親世代の貧困が解決しないし、近い将来、大量の貧困世代が生まれることになりますから。
■それと希薄化した家族関係に対する支援を求めているような高齢者は、家族関係が崩壊している人がほとんどなんですから。家族関係を深めていくような何らかの対策が必要です。現状では、生活保護にせよその手前のボーダーラインのレベルにせよ、就労できない高齢者の貧困は放置しておけない問題です。破産状態に陥らないための知識を個人が持っておくと同時に、国の生徒も見直していかないと、老後破産の問題はさらに深刻になってしまうでしょう。
『週刊現代』10.11
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