加藤のメモ的日記
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| 2014年05月09日(金) |
患者よ、がんと闘うな �� |
丸山ワクチンも疑問
いわゆる非証明医療、ことに物質的なものに頼るものについても論じておかなければならないでしょう。非証明医療とは、その効果が実証されていないのに効果があると宣伝・実行されている方法のことで、民間医療や代替療法とほぼ同義です。しかし後述のように、医師によってなされることも多いので、こう呼ぶことにします。『ガンを治す大事典』という一般向けの書籍があります。帯津良一・帯津病院院長が編集・著述したもので、それをみると、漢方薬、ハリ・灸、マクロビオテック、ゲルソン、粉ミルク断食、ニンジンジュース、青汁、ワカメ・コンブ、米酢、タヒボ茶、乳酸菌生産物質、姫マツタケ、免疫療法、リンパ球療法、蓮見ワクチン、尿、MMKヨード、ゲルマニュウム、ビワの葉、エトセトラと、がんに効かない物質や方法はないかのような盛況ぶりです。
それらの方法に本当にがんを治す力があるのか、いくらかでも有効なのかを知るために、その大事典をはじめ、医師が著したあらゆる一般向け書籍を検討してみした。その結果、それらの方法が有効だといっている根拠は、個々の患者のエピソードであることがわかりました。エピソードはおおよそ、がんが消えた、縮小した、大きくならない、長生きしている、なとにパターン化できます。しかしそれらはいずれも、治ったという根拠にも、有効という根拠にもならないものです。
その理由はまず第一に、病変の一部を取って顕微鏡でがんと診断する作業をしていないエピソードが多く、それではがんを論ずる根拠にかけます。そもそもがんに関する誤診は非常に多いうえ、この手の話の中には明らかなインチキも紛れ込んでいるのです。例えば採血だけでがんと診断するのは無理なのですが、その著作リストにある医師の一人は「採決するとがんがわかる」と、採血大部隊を組織しして町へくり出し、庶民から大金を巻き上げています。
第二には、放射線や抗がん剤を併用ているエピソードが多く、それでは何が効いたのかわかりません。エピソードの中には、その方法で調子が良くなった、だから有効、というパターンが多くあります。しかしどういう病気でも、医師が自信ありげにウドン粉を薬と偽って渡せば、三割程度の人の症状が軽減・焼失するといいます。これをプラシーボ(偽薬)効果といいますが、がん患者の症状でもプライー簿効果がみられることは疑いのないところです。
あるいは調子が良くなったのは、それまでの治療法と決別したためかもしれません。例えば丸山ワクチンは、体の調子が良くなることで有名ですが、それを開発した丸山氏は受診した患者に、それまで受けていた治療をきっぱりやめるよう指導していたといいます。患者の多くは、副作用の強い抗がん剤を続けていたはずですから、調子が良くなって長生きしたのは、抗がん剤をやめた効果ではないでしょうか。どうも丸山ワクチン神話の底には、大いなる錯覚があるようです。
本の中には、医師にあと半年といわれた、それが何年も生きているから有効という類のエピソードが多々ありました。しかし、進行がんを放っておいても3年、5年あるいは10年と、長生きする場合があるのです。まして早期がんは、そのほとんどががんもどきで分裂速度もスピードダウンしていると考えられますから、大きくならなくても当然です。それなのに医師の中には、患者を逃してなるものか、なんとか手術を受けさせようと考えてか、早期がんなのに「あと半年」と脅す者がいます。それでも患者が手術を断固拒否して他の方法に走り、その後がんが大きくなってこない場合には、それは非証明療法の効果だと錯覚してしまうのも仕方のないことかもしれません。脅されて恨みに思っている分、余計に信心を深めることもあるといいます。
個々のエピソードを有効の根拠と考えてならないことは、今や医学の常識です。漢方薬にも、がんに効いたというエピソードが巷に多々ありますが、漢方薬メーカーである津村順天堂の薬理研究所所長までつとめた細谷英吉・元慶大薬理学教授も、その著書『漢方の科学』(講談社)のなかで、「現在のところガンを治す漢方薬はありません」と明言されています。
有効性の証明には、ここでもくじ引き試験が必要です。患者を二群に分けて、放置群の生存率や生存期間と比較しなければ、その方法で治ったとか有効とかは主張できません。私は別にくじ引き試験を奨励するつもりはないのですが、がんが治るとか有効と語ってお金を取ろうという者は、くじ引き試験で効果を確かめておかねばならないはずです。しかしこれまで、彼らがくじ引き試験をしたという話を聞きません。要するにそれらの方法はすべて、根拠なしに実施されているものなのです。
『患者よ、がんと闘うな』 近藤 誠
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