加藤のメモ的日記
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2014年05月06日(火) 患者よ、がんと闘うな ��

タバコはやめろ

どのようなものが遺伝子を傷つける原因になるかというと、タバコを筆頭として食物中に含まれる物質、大気汚染物質、水道水中の化学物質、B型・C型肝炎ウィルスなどの微生物。性ホルモン、日の光など際限がありません。それやこれやで現在では、全臓器のがんの3分の1はタバコ、他の3分の1は食事、残りの3分の1は大気汚染などの生活環境の影響で生じる、といわれています。

放射線にも発がん作用があることは、原爆や原子炉事故による被曝で明らかになっています。微量な放射線でも遺伝子に何らかの傷をつけますから、土や建築材料から出る自然の放射線も発がんに一役かっているはずです。被曝に関する日本の特殊事情をしては、医療による放射線被曝が世界平均の数倍に達する事実があります。このため、医療被曝、ことにレントゲン診断による発がんは、全臓器のがんの数パーセントを占めるのではないかと推定されます。

どういう生活習慣を持ち、どのような生活環境の中で暮らすかについては、子は親の影響を強く受けます。従って兄弟姉妹の間では、遺伝子の多くが共通していることも相まって、誰かが発がんすると、他の兄弟姉妹が発がんする可能性は通常よりも高くなることが予想されます。しかしその場合でも習慣や環境を変えれば、発がん確率をかなり下げることができるわけです。その一番の方法はタバコをやめることです。禁煙すれば、がん慣例遺伝子にタバコで傷がつくことはなくなるわけですから、様々な臓器の発がん確率が低下します。

微量栄養素を付加することにより、がんが予防できるかどうか、中国河南省林県でくじ引き試験が行なわれました。3万人の成人をくじでいくつもの群に分け、1群は普通に食事して暮らすように指導し、他群には種々の微量栄養素を付加する試験です。その結果、ビタミンC、リボフラビンなどは何の影響も与えませんでしたが、ベータカロチン、ビタミンE、セレニウムの組み合わせを飲んだ軍では、がん死が13%も低下しました。

しかし、喜ぶのは早計です。というもの林県の住民のほとんどは慢性栄養失調状態にある上に、例えば食道がんによる死亡率が米国白人の100倍も高く、非常に特殊な状況下での試験といえるからです。つまりその試験結果を日本や米国のように栄養が足りている先進国で類推できるかについては疑問があるわけです。先進国でビタミンを付加したら、がんがかえって増えてしまった試験があります。フィンランドで3万人の喫煙男性を対象に行なわれたくじ引き試験がそれで、ビタミンEは何の影響も与えませんでしたが、ベータカロチンを飲んだ群は飲まない郡に比べると、肺がんの発生率が18%も増加したのです。おまけにベータカロチン群は肺がんと心疾患による死亡が増えて、飲まない群より総死亡率が8%高くなっています。

ようするに、先進国に住んで普通の食事をとっている人達は、ビタミンが足りており、ことさら栄養剤として付け足す必要がないか、付け足すのはむしろ有害である、ということのようです。ビタミンの中にはビタミンAやDのように、とり過ぎると中毒症状が出るものがありますが、ベータカロチンでがんが増加するのも、中毒といえるのかもしれません。ここから得られる教訓は、ビタミンにしろなんしろ、特定のものを多量に長く摂るのは危険、ということではないでしょうか。

別の問題としては、再発・転移の発見のためにどういう検査をどういう間隔で受ければよいのか、というのがあります。この点、検査を繁雑に繰り返すほど有効だと考えるのが普通でしょう。病院や医師によっては、診察は2週間に1回、肺レントゲン撮影や採血検査は毎月1回、骨のアイソトープ検査や肝臓の超音波検査などは半年に1度、などという場合もあるようです。しかし検査をしつこく繰り返す意味は疑わしいのです。

例えば米国で、大腸がんの術後の検査費用の調査をしてみると、術後5年間に要する検査費用は、病院によって910ドルから27.000ドルまで大きな違いがありました。しかし、しつこく検査したほうが生存率が向上するという証拠は得られていません。しつこく検査しても生存率が向上しないことを示す、直接的な証拠もあります。イタリアで乳がん治療後の患者を1200人以上集め、くじを引いて2群に分けて比べる試験が二つ行なわれています。どちらの試験でも基本的検査だけの群では、3ないし6カ月ごとに診察し、乳房レントゲン撮影を1年に1度行いました。繁雑検査群ではそれに加えて肺のレントゲン撮影、採血検査、骨のアイソトープ検査、肝臓の超音波検査などを3ないし6ヶ月ごとに繰り返しました。その結果、どちらの試験でも、両群の生存率にまったく差が見られなかったのです。

この結論はおそらくすべての臓器のがんに一般化できます。なぜならばどういう臓器のがんでも、再発・転移を早期発見しても有効な治療法が存在しないのが普通だからです。それゆえ、通院はせいぜい3カ月ないし6ヶ月に1度にして、検査はあまり受けず、何か症状が出たときに受診するようにするのが賢明だと思われます。



『患者よ、がんと闘うな』近藤 誠


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