加藤のメモ的日記
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| 2013年01月13日(日) |
ピラミッド・新たなる謎 |
数値のワナに落ちないためにの基礎知識・πが組み込まれたのには理由がある
大ピラミッドを神秘的に解釈することに熱中した19世紀のピラミッド研究者たちは、ピラミッドにまつわる数値に非常に注目した。ピラミッドの底辺の4辺を高さの2倍で割ると3.144という、円周率πに限りなく近い数値が得られることを見つけたのは、ジョン・テイラーである。「円の半径対円周の関係がピラミッドには隠されている」と彼は驚愕した。偶然の結果とはとても考えられなかった。「ピラミッド建造者たちはπの値を表現するため、つまりは数学的水準の高さの象徴として大ピラミッドを建造した」と考えた彼は、かくしてピラミッドの数値のとりこになる。
しかし冷静に考えてみると、πの謎は容易に解決がつく。長い距離を計る時に、どんな道具が使われたかを想像してみてほしい。想像どころか、実際に今も同じ道具が使われている。それは計測輪である。物差しでは風の影響が大きすぎる。こんな時は計測輪が一番使いやすい。πの謎を解くカギは、ここにある。仮に古代エジプト人が直径1キュービット(0.524�叩砲侶彗�輪を使ったとしよう。これを一回転したとき長さは、1πキュービット(0.524�叩潸弌砲任△襦B腑團薀潺奪匹猟貶佞�230.36�辰△襪�、これは140πキュービットにあたる。つまり、計測輪を一回転させたときに得られる長さなのである。
一方、高さ146.7�辰諒�は、約280キュービットに相当する。高さの280キュービットを140πキュービットで割れば、円周率πを含む2πが得られるのも当然なのである。別に円周率という概念を知らなくても、計測輪を使って計測すれば、寸法に自然にπが含まれてしまうのだ。『リンド・パピルス』という世界最古の数学書では、円の面積を、円の直径の9分の1を引いた残りを2乗する方法で求めている。πは使わないが算出すると、π=3.16という近似値が得られる。これも、πという概念を知っていたのではなく、経験から得たπに近い数字を自然に使っていただけなのである。ところで今、ピラミッドの計測輪のところで、キュービットという単位を用いたが、これもかっては、ピラミッド狂たちに盛んに問題にされていた。
キュービットは古代オリエントの基本的な長さの単位で、人間のひじから中指の先までの長さを起源としている。地域や時代によって差があるが、500ミリ前後の長さを示していた。当初はその時の王の体の実寸から、1キュービットの長さを決めたのかもしれない。彼らが夢中になったのは、ピラミッド建造に使われた、1キュービットの長さである。彼らに言わせれば、それはノアが箱舟を作るのに使った神聖キュービットだ。しかもその25分の1は、イギリス・インチと0.1%以内の誤差しかない、と主張したのは、ピアジ・スミスである。
1千万神聖キュービットは地球の中心から極までの距離だ。ピラミッドの高さに10の9乗をかけると地球から太陽までの距離になるなど、さまざまな説が登場する。しかし、ピラミッドの計測値そのものが、当時は全く不正確だったのである。だから、自分に都合のよい数値を選んで数式に当てはめるようなやり方が横行した。正確な測量は、1880年になって手がつけられた。あとに「エジプト学の父」と呼ばれるようになるフリンダース・ピートリーは、父が考案した特殊な六分儀と経緯儀を携えてエジプトを訪れると三角測量で、正確な地図をつくりあげていった。今もピラミッドの数値として引用されるのはこの計測機である。
『ピラミッド・新たなる謎』 吉村作治
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