加藤のメモ的日記
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| 2011年05月14日(土) |
自然エネルギーの不都合な真実 |
4月22日の朝日新聞に夢のような見出しが躍った。〈風力なら原発40基分の発電可能 環境省試算〉記事によれば、日本全体で風力発電を導入すると稼働率を24%としても、原発7〜40基分に相当するというのである。検証してみよう。日本で発電可能な風が吹く時間は、年間約2000時間とされるから、「稼働率24%は妥当といえる。
日本で導入されている大規模有力発電で使われる2000kwクラスの風車で考えるならば、原発1基分(100万kw)を代替するにはおよそ1770基の風車が必要になる。風車が互いに干渉しないためには風車を、最低でも100メートルづつ離す必要があるから直線に並べれば177�劼砲覆襦�ざっと東京から福島県のいわき間の距離だ。その40基分となると、この40倍だから、北海道の稚内から鹿児島県の薩摩半島最南端の指宿間を1往復する計算になる。もはや現実的ではない。
風力発電はヨーロッパなどでは大規模な導入実績や計画があるが、日本には当てはまらないという。大陸の最短にあるヨーロッパでは、一定して偏西風の西風が吹くが、東端の日本は風向も風力も安定しない。また、ヨーロッパの海は遠浅で洋上風車が建設しやすいが、日本はその点で不利なうえ、台風や落雷が多く、実際に被害も起きている。
「太陽光神話」も、原発事故を機に広がっているが、コストと発電能力の面で、「神話」の域を出ない。コスト面では、資源エネルギー庁の試算で、太陽光発電は1kwあたり49円とされている。これは原子力の約8倍である。実際の電気料金と比べても、現在1kwあたり15円程度だから、その3倍もかかる。
現状でも、日本の電気料金は先進国のなかでも高く、OECD30か国中8番目である。これが3倍の値段になれば、国民生活を圧迫することはもちろん、あらゆる産業が国際競争力を失って倒れるか、海外に出ていくだろう。発電能力は どうか。経済学者の池田信夫氏はこう語る。
「100万kwの原発1基分を発電するためには、面積でいうと山手線の内側すべてにパネルを設置しなければならない。風力もそうですが、再生可能エネルギーは広大な土地を必要とするのです。砂漠の多いアメリカでは開発可能でも、日本は国土面積がその25分の一で、平地が3割しかないので向いていない。そのアメリカでさえ、ビル・ゲイツ氏の予測によれば、将来的に再生可能エネルギーでまかなえる電力は最大30%とされています」
原発1基分100万kwを発電するためには、太陽光パネルが約、山手線内と同等の面積(58㎢)が必要になる。東北電力が建設中の「八戸太陽光発電所」は3ヘクタールにパネルを敷き詰めた国内最大規模の「メガソーラー発電所」だが、その発電能力は年間160万kwにすぎない。原発は年間2800億kwほど発電しているので、メガソーラー1基は原発1基のたった3000分の1である。
国の発電の機関として考える場合。風力と太陽光には別の致命的欠陥がある。発電量が一定しないことである。天候や風況が目まぐるしく変わる日本では、夏に太平洋高気圧に覆われて列島全体が「凪」になれば風力発電は止まるし、梅雨には太陽光発電はほとんど動かないだろう。「その間は別の発電で支えればいい」ともいえない。安井氏が解説する。
「どこで発電して、どこへ供給するかを制御する作業をスイッチングと呼びますが、これは発電、需要の変化を予測しながら人間がコントロールする神業のような作業です。そこに発電量の揺らぎが大きい風力や太陽光が10%以上入ってくれば、大停電を招く恐れもあり非常に危険です。電力系統の設計を根本的に変更する必要があります」だから現実に、世界で風力や太陽光を発電の基幹にしている主要国はない。
「新しいエネルギーとして私が有望だと思うのは、天然ガスの一種であるシュールガスです。これまでは採掘コストが高くて開発されませんでしたが、技術革新で採算が合ってきた。埋蔵量は膨大で、今後100年以上はもつ。これを利用したガスタービン発電はますます注目されるでしょう。日本は優れたエネルギー技術を持つ。電力会社の独占を排除してベンチャーを促せば、新しい方策が見つかるでしょう」
原発促進が頓挫したからといって、まるで風力や太陽光が「夢のエネルギー」のような幻想を抱くことは危険である。新しいエネルギー開発が「未来の問題」ではなく目の前の課題になった今こそ、冷静で多角的な国民論議が必要なのではないか。
『週刊ポスト』
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