加藤のメモ的日記
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浜岡原発は止めるべきだ
ここ数年、浜岡原発に近い御前崎が年々沈み込んでいるデータや、プレートのひずみの蓄積がわかる海底音波探査の結果などを見て、東海地震が近いのではないかと心配していました。09年8月駿河湾地震(M6.5)が起きました。09年にはスマトラ沖(M7.6)、サモア(M8.0)、10月にはバヌアツ近海(M7.8)、10年2月のチリ沖はM8.8ですからね。これはどう見ても太平洋プレートの動きが関連しているとしか思えない。
09年8月11日の駿河湾地震は、浜岡原発がある静岡県御前崎市などで震度6弱。東名高速の路肩が崩れて、お盆の帰省客が足止めをくらいました。浜岡原発では4号機と5号機が緊急自動停止しました。浜岡原発の被害は、予想をこえるものでした。中でも耐震性が一番高いと言われていた5号機の揺れが最も激しくて、被害が集中しました。
10センチから15センチの地盤沈下が起きて、原子炉で発生した蒸気を配管で引きこんで発電するタービンがある建屋は、コンクリートの壁にひびが入った。原子炉の核反応を止めるための制御棒を動かす駆動装置の一部も故障しました。07年7月にはM6.8の新潟県中越沖地震が起きて、柏崎市で震度6強を記録し、想定をこえる揺れに襲われた柏崎氏は原発で変圧器が火災を起こすなど大被害が出ました。それでも地震学的には小地震です。あんな怖い地震でも。
M8.0から8.5と予想される東海地震は、立っていられないような激しい揺れが1分から2分続くといわれます。地震のエネルギーでいうと、09年の駿河湾地震の178倍から1000倍もの大きさがある。安政東海地震(1854年M8.4)では御前崎の周辺が1〜2�知患�したことがわかっています。09年の小地震でもあれだけひどくやられたのですから、、1�辰睥患�したら原発の配管が持つわけがない。建物が傾いて、蒸気と高温の水が循環する配管はめちゃくちゃになってしまうでしょう。
配管が破断して、原子炉を冷やす水の供給が止まれば、ウラン燃料が灼熱状態になって溶け落ちるメルトダウンを引き起こして、大事故につながります。非常時に水を炉心に送り込む緊急炉心冷却装置も金属パイプでつながっています。原発は、核分裂で発生する熱で水蒸気を発生させてタービンを回して発電する。発生した蒸気は、復水器という熱交換機で海水を使って冷やされて水に戻し、原子炉が循環している。水蒸気と水が流れるパイプは、すべて一本の回路でつながっているので、どこが切れても熱を奪えなくなる。世界的な原発論争で最大の論点になってきたのも、この配管破壊による「冷却材喪失事故」だったのです。
09年の駿河湾地震では、制御棒の駆動装置の故障も報告されています。原子炉を止めるには、中性子を吸収する制御棒を使います。浜岡原発のような沸騰水型の制御棒は四つのブレードを持つ十字型で、燃料体のすき間に下から挿入する。縦揺れと横揺れが同時に襲ってくると、周囲にぶつかって正常に挿入できなくなる可能性がある。
電気系統が破壊されることも考えられます。浜岡原発では、チェルノブイリの原発事故が起きた88年、1号機で無停電電源という絶対にしてはい電源がストップした事故が起きています。水を循環させる再循環ポンプや制御棒の駆動装置が止まってしまい、何が起きているのかわからなかった。最後は手動で原子炉を止めたのですが、大惨事につながる恐れがある事故でした。
沸騰水型の原子炉では、配管などが壊れなくても地震で核暴走が起きる可能性があります。93年の宮城県北部地震では、わずか震度4の揺れだったにもかかわらず、近くの女川原発で核分裂を起こす中性子の数がガッと上がって、原子炉が止まってしまった。核暴走の瞬間的な反応を計器がとらえ、自動的に制御棒が挿入されたのです。83年と87年に同じ沸騰水型の福島第一原発でも、小さな地震で同様に中性子数は異常上昇しました。
沸騰水型では燃料棒の周りにあぶくがたくさん出いて、その効果でウラン燃料の核分裂が一定の割合で継続している「臨界状態」なっています。ここに地震がドーンと来ると沸騰したやかんをドンと置いたときのように、あぶくが消滅する。すると瞬間的に核分裂の連鎖反応を促進する中性子が増えるのです。中性子数の異常上昇は別の原因をあげる報告書もありますが、いずれにしても沸騰水型の弱点として、小さな地震でも核暴走が起きる危険性に変わりはない。浜岡原発でも一瞬のうちに核暴走が起きる可能性があります。
学者の中には、原発の大事故が起きると、日本は放射能汚染地帯の烙印を押されて世界貿易から取り残され、経済的にも激甚損害を受けて廃墟になると考えるのが最も妥当な推測であると主張する人もいる。浜岡原発が大事故を起こしたら、風速およそ2�辰曚匹里修萇�でも、三日くらいで首都圏、中部経済圏、関西経済圏が大量の放射能で覆われてしまう。また、原発は老朽化が進んで、地震が来なくても原発事故はいつでも起こりうるのです。
巨大地震が続く活動期に突入か
江戸時代の地震活動を調べると、どれもみんなすさまじい。1703年の元禄大(M8.1)、1707年の東海・南海地震(M8.4)。2ヵ月後の富士山の宝永大噴火では江戸まで全部灰に埋もれている。今の日本がこのような活動期に入っているのかどうかはわかりませんが、起こっていることがあまりにも似ているので、当時と同じ力が作用している、と思います。
政府の地震調査研究推進本部によれば、東海地震は30年以内に起こる確率が87%とされています。いつ起こるかはわからないけれど、近い将来に東海地震は必ず起こる。起きてしまえば壊滅的な被害を受けるという意味で、原子炉はまさに時限爆弾です。まずは東海地震の震源域に建っている浜岡原発を止めなければいけない。逆にいえば止められるんですよ。
クリーンで原発よりもはるかに効率がいい最新鋭の火力発電所を、中部電力も建設すると発表しています。電力供給の点からいえば、浜岡原発が止まっても問題はありません。大事なのは世論です。みんなが危険性に気づけば、浜岡原発は止められるはずです。
2010 11/26『週刊朝日』
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