子の年齢:3歳
自分ではどれだけ疲れているか気づかないものである。 自分が気づかないのだから、ましてや家族が気づくはずもない。
頭が痛いな〜、と思いながら、スキー場近くの保養所へ。 体調不良を訴えても、夫は行く気満々だ。 ちょっとめまいもするし、吐き気もするし、スキー場では寒気もする。 吐き気がする、と言うと夫は「え〜。」 え〜と言われても、一番辛いのは私なのに。
ちーちゃんとそり遊びをして、レストハウスに行くと、タバコの臭いで頭痛がいっそうひどくなる。 3時ごろにホテルにチェックインして、体を温めるために温泉につかることにした。 歩いているうちに吐き気がひどくなり、浴場について最初にしたことは、トイレで吐くこと。
部屋に戻ると寒気がひどくなり、布団を取り出して横になるが、どんな姿勢をとっても楽にならない。 頭は痛いし、寒気もするし、のども渇くし一体どうなるんだろう。もはや立ち上がる気力もない。
夫はまだ、しばらく休めば夕食が食べられるほど元気になるだろう、と思っているようで、ちーちゃんを別室に連れて行って遊ばせている。 このまま一晩寝ていても治る気がしない。帰り道のドライブにも耐えられそうにない。 「今すぐ病院に行きたい。」 夫はそこで驚いて、フロントに救急病院の場所を訊きに行った。 フロントでは、近くに救急病院はないので救急車を呼んだらどうか、ということになった。
と言うわけで、一刻を争う病状ではないのだが、救急車がやってきた。 「ぴーぽーぴーぽー」 自分のために来た救急車のサイレンを聞くのは妙なものだ。 「あ、来た、智ちゃん、ママあれに乗っていくから。」 「パパおらん、うえーん」 その時パパは、荷造りのために車に行っていた。 「パパ来るからね。パパと一緒に車で来て。」 サイレンが止まったが、救急隊員より先に夫がやってきた。 「救急車の人、なんか下でモタモタしとるわ」 ほどなくノックの音がして、オレンジ色の服を着た救急隊員の方々がやってきた。 帽子とマスクを取ってしゃがみ、まず、ちーちゃんに話しかける。 「こんにちは、何歳かな?」 後で聞いたところによれば、小さい子供は、救急隊員を見て泣くのだそうだ。 「3さい」と返事をしていたような気がする。 今度はこちらに、名前、年齢生年月日などを尋ね、緊急無線に報告する。 「36歳女性を収容します、意識は清明です。」 ストレッチャーに乗せられて、車に運ばれる。 スキー場から平地の病院に行くので、道は下り坂だ。吐き気のするわたしに、寝たまま道を下るのはとても辛いことだった。 飲んだばかりの水を全部吐く。 落ち着くと、検温や問診をされる。食事の時刻と回数、これまでの経過など。
さて、病院について、病院のストレッチャーに移されると、医者は、一刻を争う病状ではないことをすぐに見て取った。 「鎮痛薬は1日3回飲んでもいいんだ。」 救急隊員が、車内で吐いた吐しゃ物を示しても、「そんなもん要らん」 すみません、救急隊員さん、親切にしてくれて本当にありがとう。
さて、病院で、鎮痛座薬と点滴を受けたら、うそのように元気になった。
ちーちゃんはパパがそばにいたので何も怖くなかったらしい。 「ママ、頭痛くなったらまた救急車に乗られ。」 と真剣に言っていた。
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