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2005年11月06日(日) ■ |
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貫井徳郎「殺人症候群」 |
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貫井徳郎「殺人症候群」 やっと文庫本が出ました。一気に読んだ。 解説子が言っているように、この小説に限っては 第一作「失踪症候群」第二作「誘拐症候群」を読んでから この三作目に入ったほうがよろしかろうと思う。
設定自体がまるで現代の「仕掛け人」なのであるが、 三作目に至ってはまるで仕掛け人VS仕掛け人。 というエンタメ性と、 最愛の人を殺されたのに、加害者は法の網をくぐりのうのうと生きている。果たして彼らに復讐することは許されないことなのだろうか。 重い問いに対して、安易に倫理的な理屈を持ち出して解決しようとしていない。その普遍的な問い。 いつもながら、視点が次々と変わることによる、「何かある」と思わせる構成。傑作です。長い間待っていた甲斐がありました。
ところで私、この本は三部作で完結したことになっているらしいのですが、 わたしはぜひとも四作目を造ってもらいたいと思います。 なぜなら主要登場人物で、ひとりだけ過去が明らかになっていない人がいるということがひとつ。 失踪、誘拐、殺人、とだんだんと犯罪性が高くなってきたなら、 最後まで行かないといけないでしょう。というのがひとつ。 今回ひとつの罪の根源に迫ったのだとしたら、 次に「敵」として相対するのは 「国家」でしょう。 だとすれば次の題名は決まりです。 「テロ症候群」。 (これだけカタカナというところにいまひとつ自信が持てない。 かといって「天誅症候群」というのもなあ……) (05.10.29)
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