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2005年10月27日(木)
「海の伽耶琴」(上) 神坂次郎

「海の伽耶琴」(上)徳間書店 神坂次郎
秀吉の朝鮮出兵時、当初秀吉軍の中にいて、その後朝鮮側についた一群の武将がいた。彼らは鉄砲の技術を持ち、そのためそれまでの戦況を大きく覆すことに成功する。その武将の名前は「沙也可」と伝えられている。この小説はその武将を、紀州雑賀衆の大将鈴木孫市の若大将「小源太」として描いた歴史小説である。なぜ彼は朝鮮軍に「寝返った」のか。また、雑賀衆は戦国時代、一向宗に味方し、信長と戦い、ついに信長は彼らをつぶすことができなかった非常に優秀な技術集団でもある。その後も、秀吉軍と戦っているはずである。なぜ敵側である秀吉軍の中にいたのか。それは教科書では教えない歴史であり、(朝鮮の教科書には「沙也可」の名前は出てきているらしい)その秘密の中に戦争とは何か、ということが描かれているかもしれないと思い、紐解いてみた。

信長は敵側を皆殺しにする日本歴史上稀有な独裁者であった。(比叡山焼き討ち、一向一揆・本願寺宗徒の壊滅)それと真っ向から対する雑賀衆もまた命知らずの鉄砲集団で、戦国の世を生きていく。彼らが戦死を恐れないのは当然だとは思うが、それぞれの「戦い」についてあまりにも疑問を抱いていないのは、不思議に思う。まだ後半はこれから読むのではあるが、私の最初の疑問は上巻ではぜんぜん解明できなかった。
(05.09.14)