日々あんだら
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2012年09月07日(金) 山を舐めたら泣く。

…ということを、おれは声を大にして言いたい。
まあ、「泣く」で済んだらまだマシ。「事故」とか「怪我」とか「遭難」とか、最悪「死亡」とか。

今回の富士登山に際して、まだまだ初心者のおれが、初登山を含むド素人な後輩たち3人を連れて行く、
ということで、実は相当なプレッシャーを感じてたわけです。
山岳保険にも入ったしね。(遭難した時の救助費用とか、治療費とかを出してもらえる)
そして、後輩たちに道具の大切さをどこまで語るか悩んだりしてたわけです。(→

で、悩んだ結果、「必要な装備を持ってなくて怪我とか病気になったらやっぱりあかん!」と
当たり前の結論を出して、必要な装備リストを作って後輩たちに送ったのです。
エクセルで2枚びっしりという大作。(笑)
しかも「これは絶対に手を抜いたらあかんグループ」「必要やけど、1回限りなら安いもので代用できるグループ」
「あったら便利やけど、なくても何とかなるグループ」などに格付けして。
数名の登山経験者に監修までしてもらいました。おれ、いい先輩。(笑)

特に「絶対手を抜くな」って書いたのは、
・靴(防水で、ミドルカットかハイカットで、自分の足に合ってて、履き慣らしたもの)
・レインウェア(上下絶対。ポンチョ不可…風が吹いたらまくれ上がってびしょ濡れになるから)
・リュック(体に合わないのを背負うと、疲労が3倍くらいになる。マジで)
・リュックカバー(リュックの中身がびしょ濡れになると、濡れた服を着替えることすらできなくなる)
・ヘッドライト(御来光目指して真夜中から動くので、両手の空くヘッドライトは必須)
・帽子(山は太陽に近いので、気温は低くても日差しはきつい)
・防寒具(富士山、下は夏でも上は冬)
このあたり、手を抜くと本気で危険。


【後輩その1の場合】
彼女の同期からリュックと雨具を借り、実家にあった古いトレッキングシューズを取り寄せ、
ヘッドライトはおれの予備のを借りる、というコストダウン作戦に出る。

5合目の登山口に着き、ご飯を食べ、高地順応(そこで既に2000mくらい)のためにしばらくゆっくりし、
じゃあそろそろ登りますか、と靴を履いた時に悲鳴が上がった。
「ソールがはがれました!!」
キターーーー!!
まあ、まだ登山口で気付いた分、状況はマシか。。。

山小屋のおじさんに「靴はないですか?」と聞いたが「売り切れです」と。
「ガムテープで留めて登るしかないねぇ」とおじさん。
ええ、そうですね…でも絶対途中で千切れるし。。。
ということで、拝み倒して売り物でもないガムテープを無理やり売ってもらいました。

で、こんな状態。(笑)



このシューズの半分はガムテープでできています。(笑)
幸いにして富士山は、下が砂地の場所が多いので、ソールがガムテープで覆われてても滑りにくくはある。
これが屋久島やったら木道で滑って大変やったやろうなぁ…

しかし、やっぱり歩いてる内にテープは千切れ、もう片方のソールも剥がれ…そのたびにガムテープで補修。
彼女、だんだんガムテープ補修が上手くなって来ました。


最後の方は、主成分:ガムテープ。(笑)



ここまでしてても、剥がれます。というか、脱げます。スリッパかこれ。(笑)

夜の霧と雨と風の中、山を降ってる時にソールが剥がれ、「もうこのままでいいです」とミッドソールむき出して歩いてたら、
「…ソールが取れました」
ええっ!?
見たらミッドソールまで取れて靴下が見えてました。あかんやん。
やっぱり、歩きにくくても面倒でも、アウトソールって大事やなぁと実感。(笑)

ちなみに彼女は、レインウェアの下を持ってなかったので、下半身が雨に濡れて顔色が無くなるくらい凍えてました。
真冬(気温5℃)に下半身びしょ濡れになって4時間も風に吹かれ続けるのを想像してみてください。
そりゃー寒いよね。^^;

教訓:靴とレインウェアはケチるな。



【後輩その2の場合】
彼女は富士山経験者。と言ってもそんなに登山とかしてるわけではないタイプ。
彼女も、おれの送ったリストをきちんと読みました。
読んだ上で、おれの格付けを無視して、自分格付けで装備を持って来ました。

歩き始めてから30分経つか経たないかの頃から雨が降り出したので、
みんな慌ててレインウェアを着たりリュックカバーを付けたりしたんだけど…

「あれ?お前リュックカバーせえへんの?」
「あはははは…」
「お前…」
「…持ってきてないです。(笑)」

「(笑)」やあらへん!
「いやー、日焼け対策で頭がいっぱいで、雨対策はちょっと…^^;」
…呆れて物も言えねぇ。。。

そこで急遽、インナーカバーとしておれのリュックの中に入れていた黒いポリ袋を取り出し、
彼女のリュックにかぶせてストラップのところだけハサミで切り取りました。
即席リュックカバーの出来上がり〜〜〜。



みんなから、「黒いてんとう虫や!」「赤いマジックで星つけろ!!」て散々言われてました。
でも、雨は結構防げたみたい。


しかし、ウチのパーティの女子2人、ガムテープのブーツやわ、ポリ袋のリュックカバーやわ…
「お前ら2人、この2日間『山ガール』を名乗ることは禁止!おれが許さん!!」
先輩命令出しました。(笑)

さらにこいつはヘッドランプも持ってなく…
「夜登るのにどうすんねん!」
「周りの人たちが照らしてたら大丈夫かなぁと思って。。。」
「アホー!周りは見えても自分の足元は暗いやろ!!」
と説教した後、念のため持って行ってたLEDライト(手に持って使うやつ)を貸してあげました。

LEDライトと言い、ポリ袋と言い、(ポリ袋を切り取るのに使った)ビクトリノックスのマルチツールと言い、
「念のため」で持って行ってた道具がこんなに役に立った登山は初めてです。
てか、今までは使ったことすらなかったわ!!


教訓:経験者の言うことは素直に聞きましょう。
   「念のため」って、本当に役に立つ。時々。






…てか、おれって後輩たちから軽く見られてるよね。。。


そんな中、最後の一人だけはおれが持って来いと言ったものを全部きちんと揃えてて、
ノートラブルで下山できました。(彼自身の体力や、寒さへの強さとかもあったんやけど)
いやー、やっぱおれのアドバイスって有用やったよね。^^
今度彼だけ誘ってどこか近所の山に行って来ようと思います。





まあ、ぶっちゃけて言うと、後輩その1・その2は入社3年目くらいの若手、
3人目は入社10年目くらいの中堅、ってことで、給料がだいぶ違うんよね。
やっぱり山の装備って初期投資が相当かかるから、ウチみたいな給料安い会社の若手には厳しかったかもしれん。
ただ、だからって手を抜いていいってわけではないんやけど。
そうならそうで、相談しろよー。金貸せるわけでもないけどさ。
安いところとかネットオークションとか、頑張って探すやん。

最近は山の道具もレンタルとかあって、彼女たちもそれを考えてた時期もあったんやけど、
なんだかんだで利用しなかったみたいです。
登山を本格的にやるんじゃなくて、「ちょっと体験してみたい」とか「富士山だけ登りたい」って人には便利やと思うんやけど。
(ま、靴だけは自分の足に馴染ませる意味で、買った方がええと思うけど)

今度から、ド素人連れてく時は、ウザがられても装備をそろえたかどうか、
口うるさいくらいチェックしようと思います。





と、えらそうなことを言ってますが、ぶっちゃけ昔のおれが山を舐めてたからね。
死ぬまでに縄文杉と富士山頂だけ行ければいいや、くらいしか思ってなくて、
そう考えたらやっぱり山の道具って高いもん。

リュックはその辺の安物、トレッキングブーツは8年落ちの古いやつ、雨具はポンチョ。
そして、極めつけはジーンズとコットンTシャツ。
すれ違う山岳ガイドさんたちに二度見されまくったのが今ならわかる。^^;
今となっては、金もらってもそんな恰好で登りたくない!!!


肩は凝るわ、山の中でブーツのソールはペロンと剥がれるわ(後輩その1と同じ症状)、
汗でジーンズはどんどん重くなって鉛みたいやわ、Tシャツが乾かなくて冷たくなるわ。
ホンマ、遭難しかけました。^^;

最初の富士山では相当な雨に降られて荷物の中までびしょ濡れになり(カバーしてたのに!)
それ以来防水対策は自分でも呆れるくらいやってるしね。
(リュックカバー→リュック→ポリ袋→小分けの袋は全部ゴアテックス)



そういう、失敗した経験を後輩たちに伝え切られへんかったおれが悪かったのか。
最初は後輩たちの舐めっぷりを書くつもりやったんやけど、最終的には反省。。。^^;


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