日々あんだら
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(Leica M6 + SUMMARON3.5cmF3.5 + KODAK Tri-X)
こないだ、土曜日の明け方だったか、じいちゃんが夢に出てきた。 別に夢枕に立つとか、そういう怖い感じじゃなくて、親戚一同が集まった席で、 みんながワイワイと騒いでいるような雰囲気だったと思う。
そんな中、じいちゃんの席の方に近づいて行くと、僕を見上げたじいちゃんが 「なんでウチ(の会社)を継いでくれんかったんや。お前なら継いでくれると思っとったのに」 と急に言って来た。 別に責めるような口調ではなく、少し笑顔を浮かべながら、でも淋しそうに。
ドキっとした僕は、咄嗟に二番目の理由を口に出していた。 その理由を初めて口にしながら、自分自身でも納得して行くのを感じた。
この理由は誰にも言っていない。 父親からも理由を聞かれることはなかった。 「そうか」と一言言われただけだ。 だから、この理由は僕の中にあったけど、きちんと言葉の形を取っていたわけではない。 とても曖昧な形でぼんやり浮かんでいたそれを、夢の中でじいちゃんに語りながら、 僕は初めてしっかりと認識したのだった。
もちろん、夢が僕本人の潜在意識が現れたものだということはわかっている。 多分、このことについて僕が最も負い目に思っているのが亡くなったじいちゃんに対してで、 だから僕の意識がそういう夢を作り出したんだろう。
でも、じいちゃんが来てくれたんだ、と思うことにする。 理由を形(言葉)に出来ず、ウジウジとどこかで引きずっていた僕を助けるために、 わざわざ夢の中まで来てくれて、あんな質問を投げかけてくれたんだ、と。 その方が気持ちいい。
同時に、そんな機会でさえも一番目の理由を口にできなかったということは、忘れないようにしようと思う。 もう、誰かにその理由を話す機会は決してないのだ。
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