日々あんだら
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2007年10月29日(月) フィルム礼賛




今日の日記は毒舌です。毒吐きまくってます。
若干キレ気味です。そして長いです。

嫌な人は読まないでね。


























最初に断っておくけど、僕はフィルム派でもデジタル派でもない。
何度も言うとおり、そのどちらともを楽しんでいるだけで。


今日、ある写真雑誌を買った。
結構参考になる記事が載ってるし、載ってる写真の質もそこそこ高いし、値段はちょっとするけどよく買ってる雑誌。
今号の特集は銀塩フィルムについて。
最近毎月何かしらの雑誌が特集を組んでいるテーマだ。
良くも悪くも銀塩フィルムが注目されているってことなんだろう。

最近、こういう特集の時には必ずと言っていいほどあの人の記事が載っている。
今回の雑誌にもやっぱり載っていた。
で、読んだら気分が悪くなるのはわかってたんだけど、あえて読んでみた。

「あの人」というのは、最近いろんな雑誌やパンフでフィルム礼賛をぶち上げている人である。
(「擁護」とか言うレベルではない)
最近知ったんだけど、天下の富士フィルムのある役職の人みたい。クラッセWの企画にも関わったんだって。

それ自体は別にいい。1日でも長くフィルムを存続させるために頑張ってもらいたい。
でも、その頑張り方が間違ってると僕の目には映るのだ。


とにかく彼のフィルム礼賛論は「デジタルとの比較」の上に成り立っている。
もっと言うと、デジタルをけなすことでフィルムの良さをアピールしようとしている。
いろんなところで何度も彼の書いた記事は読んだけど、とにかく彼が認めるデジタルの良さは速報性とお手軽さしかない。


では、彼の主張で僕が気になったところを抜粋させていただこう。
あくまで抜粋なので前後の文脈が気になる人は本屋さんで探してください。
でかでかと「銀塩フィルム!」って書いてあるのですぐわかると思います。



「(デジタルは)調整は自分で限りなくできるわけですから、どんどん派手な色のプリントを作ってしまうわけです。」

−僕はデジカメから写真に入ったんだけど、確かに最初はコントラストや彩度を上げて嬉しがってた。
でもそのうち飽きて、逆にどんどん彩度やコントラストを下げて来ています。
そういう人間もここにいる。
誰でも一度は彩度やコントラストが高い、見栄えのいい写真に惹かれるんじゃないかと思う。
でもそこから、その路線を極める人と、逆に僕のように彩度やコントラストを落とした方が好きって人間に分かれるんじゃないか?

てか、フロンティア(デフォルト状態)みたいなプリンターを標準にしてるところの人間が、よくもそんな台詞を臆面なく言えるもんだ。




「フィルムを使う良さとして、カメラやレンズの魅力というものがあると思う」

−これはこの人じゃなくて、インタビュアーの発言。
いつも思うんだけどこの理論、偉いのはフィルムではなくて、フィルムカメラ全般でもなくて、「昔の金属製カメラ」なんじゃない?
クラシックカメラの物としての存在感・満足感を、フィルムの魅力の一環として語るのはおかしいと思う。
だったら10年前20年前のAFフィルムカメラはどうなんだ?と聞きたい。
10年前のプラスチック製のAFカメラと、今のデジタルカメラと、手に持った時の満足感は違いますか?
たいして変わらないだろう。
(もちろん10年前のプラスチック製カメラがダメと言ってるわけではなく、デジ一眼とクラシックカメラだけを見て比較して欲しくないということです。)

ちなみにレンズなら、フィルムもデジタルも同じのが使えるものが多いよ。
僕、35年以上前のレンズを、今のデジ一眼に付けられるように改造してもらったし。
ニコンやペンタックスやライカなら、古いレンズもそのままつくし。オリンパスも専用アダプターを用意している。
それに「古いレンズの味」ってことを語るなら、フィルムよりむしろデジタルの方が強い。
デジタルの方がレンズのクセがストレートに出るから。



「(デジタルカメラは)どんどん進化して3年後に燃えないゴミになってしまう状況」

−僕が今メインで使っているα-7D、発売してちょうど3年です。
僕、燃えないゴミで写真撮ってるらしいです。

こういうことを言うのは自由だし、表現はともかく中身はその通りかもしれへんねんけど、デジカメ使ってる人がそういうコメントを読んだらどういう気持ちになるか考えないんだろうかこの人は。
他の表現はなかったん?
この言葉を読んで、 「じゃあデジカメやめてフィルムカメラを買う!」って言う人がいるとでも思う?
(こういう台詞が許せるとしたら、デジタルを積極的に使ってる人が自虐的に言う時くらいだと思う。)



「プロは『仕事はデジタル、作品はフィルム』という人が本当に多い」

−それは事実としてはそうだろう。
でも、ちょっと考えてみて欲しい。
プロって大部分の人が、ほとんどの仕事をデジタルでこなしているはずだ。
仕事で毎日デジカメを使ってたら、そりゃ誰でもプライベートではフィルムを使いたくもなるよね?

それをアマチュアに押し付けるのは変な話。





…もうなんだか、挙げるのにも疲れたけど、きっとこの人はフィルムを守ろうという気持ちが強すぎて、
デジカメ使ってる人の気持ちを考える最低限の想像力も働かないんだろうね。
その程度の想像力もない人に、いい写真が撮れるとは思えないんだけど。


もし、この人が私人だったらそんなことを言ってもいい。
友達にデジタルの悪口を言うのなら、好きに言えばいいだろう。
僕に言うてきたらその場で反論するけどな。(笑)

僕だってここや他の場所の日記で好き勝手なことを書いてるし、嫌いなものは嫌いって言う。
(それで不快な思いをした方にはごめんなさい。今日の日記も含めて)
好きなものでも悪いと思うことは悪いって言う。昔の日記にα-7Dについての評価を書いたけど、
今読み返してもこんなに悪く言ってる人はおらんかったやろって思うぐらい悪く言っている。


でもこの人は、富士フィルムの社員として発言しているんだ。
しかも不特定多数の人間が読む雑誌という媒体で。
もちろんデジカメ使ってる人も読むのがわかっていて。

少なくとも、富士フィルム製のデジカメを使っている人たち(もちろん僕も含む)に対して、
どう思っているのかを聞きたい。
彼がフィルム部門の人間だとか、そんなことは関係ない。
会社の名前を背負って発言するということは、その会社全体を代表して発言するということなんだ。
この人の見識を疑うし、もっと言うと富士フィルムという会社の見識を疑う。
ちなみに僕が初めて彼の記事を読んだのは富士フィルムのパンフレットだった。
つまり、彼の意見が富士フィルムの公式見解ということでいいんですよね?
読んだら気分が悪くなって、食欲も失せたよ。。(と言いつつ帰りにソースカツ丼食ったけど。笑)


何度も言うけど、僕はフィルムも好きだ。
ネガの柔らかいトーンも、ポジの透明感のある色彩もデジタルにはまだ出せないものだと思う。
たまらなくフィルムで撮りたくなる日もあるし、デジタル中心で使ってる時期でも、
平均したら月に20〜30本くらいは使っている。


でもこんなことを言う会社からフィルムを買いたくはない。
手持ちのフィルムを使い果たしたら、富士のフィルムなんてもう絶対買わない。
今使ってるデジカメが壊れても富士のはもう買わないし、人にも勧めない。
これからフィルムはコダックとパレード一筋だ!!(いや、それ二筋…)



…あ、でもPiviのフィルムだけは買う。(だって代替品がないんやもん!!笑)



ところでこの雑誌のフィルム特集で気になったことがもう一つ。(てかその前から気になってたんだけど)

普通のフィルムとポラはそろそろ分けて考えてもいいんじゃないか?
カメピ2もそうなんだけど、なんで銀塩フィルムとポラフィルムを一緒にするんだろう?
別物でしょ?絶滅危惧種という共通項でくくってるの?



あと、よく目にする意見が「フィルムでないと心は込められない」というような言葉。

それって完全にその人の好き嫌いやん?心の持ちようの問題やろ?
自分にできないからって、他人もそうだと思わないで欲しい。
心のこもったデジタルフォトだって、世の中にはいくらでもある。
見たことなかったらおれのところに来い!いくらでも見せちゃる。(笑)



ということで、上の写真はもちろんデジタルです。
自分としては心を込めてるつもり。





<追記>
この件は、この後ご本人と連絡を取らせていただき、僕としては一応納得しました。
詳しくは翌日の日記をご覧ください。


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