日々あんだら
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2006年03月05日(日) 2年越し

ありがたいことに今まで延べ65000人以上もの人が来てくれてたこのサイト。
2年前、記念すべき最初の1000人目に来てくれたのがその人だった。
希望の写真を1枚プレゼントした。


その少し後、彼から突然メールが来た。
「僕たちの結婚案内葉書に使う写真を撮ってくれませんか?」

当時の僕は写真を始めて1年と少し。
人を撮ったこともなければ、誰かから撮影を依頼されたこともなかった。
僕の地元の、行きつけのお店で2人と待ち合わせをした。
ちょっと緊張しながら食事をして、近所の大きな公園で2人を撮った。
どうしていいかわからずに、手際の悪いところはたくさんあったと思うけど、
出来上がった写真には満足してもらえた。
数週間後、僕が撮った写真を使った「結婚しました」という葉書が来て、元気をもらったことを覚えている。

結婚して、当時僕が住んでいた場所の隣の駅に引っ越して来て、
それからは時々一緒にご飯を食べるようになった。
家にも遊びに行った。
僕の煽りにあって同じカメラも買ったし、僕が大阪に来る前には送別会も開いてもらった。
引越しの前の日、片付かない荷物に焦りながら作業をしていた時、
疲れてるだろうに真夜中に2人で手伝いに来てくれた。

大阪に来てからもネット上の交流はコンスタントに続いたし、東京に行った時には泊めてもらったり、
一緒に伊勢に合宿旅行に行ったり、こないだの僕の個展の時には泊まりがけで見に来てくれた。


そんな2人が、結婚してから2年。やっと結婚式を挙げることになった。
「おれらの結婚式の時も、写真はhideさんにお願いしますよ」
ずっと前に交わした約束。果たさないわけにはいかない。
東京までの往復航空券と、宿泊するホテルと、軽井沢までの往復新幹線のチケットを予約した。





冷たく澄んだ高原の空気。
青すぎない青空。
枯れた芝生の上に伸びる木々の影。
こじんまりとした、神聖な空気の漂う教会。
柔らかい光と流れる水の音。
朗々と響く神父さんの声。
小さい声で、しかしはっきりと誓う新郎。
涙がこみ上げ、誓いの言葉を続けることができない新婦。
その場にいた全員の、「頑張れ!」という心の声。
満面の笑顔のライスシャワー。
明るい光の差し込むレストラン。
新婦のおばあ様の乾杯の音頭。
少人数でアットホームなパーティー。
みんなの笑顔と笑い声。
無理矢理やらされたキス。
新婦の生徒たちからのビデオレター。
最後の挨拶で、言葉に詰まる新郎。
後ろを向いて嗚咽を堪え、涙を拭う。
それを見つめる新婦の眼差しと、差し伸べる掌。




そこが限界だった。
今までこみ上げたことのなかった涙が、一気に僕の目に溜まってこぼれ落ちた。
涙で滲んでピントかボケかわからない視界の中、シャッターを切り続けた。
それでも、ピントはきちんと合っていた。
周りを見たらみんな泣いていた。
自分が泣いていることを恥ずかしいとは思わなかった。
帰りの電車の中で写真を見返しながら、また少し泣いた。
本当にいい式だった。





おめでとう。



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