日々あんだら
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今日の昼間、移動中にカメラ屋さんがあるのを発見しちょっとだけ立ち寄ってみた。 いつも通り、TC-1がありそうな棚を一通り眺め、ミノルタコーナーでMD20mmを探し、最後に二眼レフコーナーに向かう。 を?オートコードcdsやん?デザインはちょっと気に入らんけど露出計付いてて便利やし、いくらやろ…委託品で1万5百円!? 「すみませーん、このオートコード見せてもらっていいですか?」(即)
この値段、オートコード(しかもcds)としては破格の安値である。 外観は革に目立つ傷も汚れも無く、美品と言えるレベル。 各操作をいじってみるが、絞りレバーがちょっと軽めなのを除けば気になるところはない。 シャッターは1秒がほぼ正確に出ているし、よく見かけるの鳴きも全くない。 ビューレンズとマット面は完璧。 裏蓋を開けてバルブにセットしシャッターを開けて撮影レンズを明かりにかざすと、レンズの真ん中に大きな汚れ?コーティング剥がれ?がある。 …これ、多分汚れやな。拭いたら落ちるよな。
はっきり言ってありえない値付けである。 委託品って書いてあるし、すぐにでもお金に替えたいオーナーさんの意向でもあったんだろうか。 買いだ。これは買いである。 露出計のチェックはしてないが、仮に露出計が壊れてても安い。それにほら、ミノルタのオートメーターⅣFがこれまた1万5百円で置いてあるじゃないか。 セットで2万1千円。この状態のオートコードcdsならこれでも破格である。
全身から「買うぞ買うぞオーラ」を漂わせつつ頭の中では現在のカード支払い残額を計算しながら、各部の最終チェックをしていたその時!僕の全身に衝撃が走った。
ちょっと脇道。 僕は営業なんぞやって日々の生活費をいただいているわけだが、つまらないミスが多いことで有名である。 その中で良くあるミスが「桁の読み間違い」。 6千万を「6百万」と読んだり、1億を「10億」と読んだりは日常茶飯事で、そろそろ誰も驚かなくなってきた。(笑) …そんな普段の生活で使わへんような桁なんか、パッと見て読めるかい!!(開き直り)
そしてそう、ここでもそれをやってしまったのである。 値札…「105000円」 …じゅ、じゅうまんごせんえん。。。( ̄□ ̄;)!!
やっちゃったのである。冷静に考えたらこんな値段でこんなオートコードcdsを出す人なんかいない。 即金が欲しければ普通にお店に買い取ってもらえばいいだけなのだ。 ここで何がまずいかと言うと、この全身から立ち上る「買うぞオーラ」を店員さんが期待の眼差しで見つめているのだ。 それをあなた、値札を見た瞬間しばらく固まり、おもむろに蚊の泣くような声で「やっぱりいいです…」なんてかっこ悪くて言えんのである。 こうなったらあれだ。難癖つけるしかない。(笑)
こうして戦いの火蓋は切って落とされた。
「あ、このレンズってコーティング剥がれですかね?」 すぐにレンズを拭く店員さん。「汚れですねー。ほらっ、綺麗になりました^^」 …あう。(汗)
「このカメラって、露出計生きてます?電池は何を使うんですか?」 これまたさっそく電池を何種類も取り出してテストしようとする店員さん。 でもなかなか適合する電池が見つからず…よし、いいぞ。 露出計使えるのかなー?どうかなー?使えたら買いだなー?てな雰囲気を演じつつ、心の中では動かないことを祈る僕。(笑) そうしてると店員さん、おもむろにパソコンのキーを叩き出したではないか。 ぬをっ、適合電池をデータベースかなんかで調べるつもりか? 敵(?)も高額商品だけに必死だ。 「これは…このアダプター使って…あ、動いてますねー」 うそーん。(滝汗)
「あのー、でもやっぱりこれってちょっと高いですよね?相場はどんなもんですか?」 こうなりゃ最後の手段だ。相場は絶対これより低いことを確信しつつ尋ねる。 あくまで「最初から10万5千円って読んでたけど、一応チェックしてみただけなんだよ」という顔で尋ねるのがポイントである。 決して「1万5百円と読み間違えて買う気満々だった」と悟られてはならぬ。(誰が気付くかそんなもん)
再びデータベースを検索する店員さん。 「…高くても…8万円くらいですね」(ちょっと無念そう)
ふっ、勝った。
こうしてこの先数ヶ月の生活に影響を与えかねない危機は回避されたのであった。 ナイスおれ。頑張ったぞ、おれ。 給料もボーナスもカットされるというのに、こんなところで9万4千5百円も無駄に使ってたまるか。
長い戦いと勝利の余韻に浸りつつお店を出る僕のカバンの中に、 オートメーターⅣFが入っているのであった。
…あれ?
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