甘えた関係

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2003年01月22日(水)
ひとりごとみたいにアイシテタ

片付けるためにつかんだジャンバーに、一昨日の自分の移り香。
毒みたいに甘くて苦い香水のほのかな匂い。
香水のキライな人間が最も嫌がる匂い。
「石鹸の匂いのするオトコはきもちわるい。タバコのほうがまだずっと好き」
この言葉を、親しくもない人に向かって、石鹸のにおいがすきそうなあたしが言うとこだった一昨日の夜。
ギャップのある言葉は、下手な興味持たれたらかなわないから、厳禁。
冷たいお酒を一気に飲んで、周りの反応にテキトーに首かしげて、「世界はまるいの」なんて言って、にこにこ笑った。
披露されたちゃちな手品に拍手して、ゆっくりまばたき、細く溜息つきながらそっと壁側を向いたたところで、気緩んで少しカオをしかめた。
『どうしたの?』
誰もいないと思っていた壁側に人がいて、思わず、カオをしかめるのと笑うのとがごっちゃになりながら、「なんでもない」。
『だいじょうぶ?』
『さっき近づいたとき思ったんだけれどさー、似合わない香水つけてるよね。つけるならもっと可愛いのにすればいいのに。そっちのが似合うよ。』
この人間のスイッチを切るリモコンはどこだろうと思った。
「カンケーないでしょ」
にっこり笑うのって便利だっていうことに、大学にはいってからやっと気づいた。
それはつまり、大学にはいってから使うのが、あたしにはちょうど良かったっていうこと。
倫理とか世間体とか理由とかどーでもいいの、なんていう人種から、あたしは程遠いところにいて、倫理とか世間体とか理由とかを最重要事項としてコマンドを選択しているけれど、それはつまり、その種類の自由しか今のあたしには使いこなせないっていうこと。
『ホント外見詐欺。ぜんぜん酔わないよな』
さっき背を向けた方から差し出された言葉に、すがりつくように振り返った。
「かなー」
首かしげてにっこり。
見透かすことが出来そうなアタマをしている人が、あたしを見てまた笑った。
毒みたいに甘く苦いラストノートを好むのは、誰かへのヒントの発信かもしれない。
なんていやらしい機構。

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