| 2026年07月15日(水) |
コインパーキングで起きた奇跡 |
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オレは目の不調があって眼科に行こうとしていた。やたら目やにが出て、朝からうっとおしかったのである。オレの行きつけの眼科には駐車場がないので、仕方なくオレは近隣のコインパーキングに駐めることにした。歩いて行くと熱中症にやられそうだったからだ。クルマで走りながら安いところを探した。20分200円とか、15分200円とか、最近のコインパーキングはどこも強気である。最大料金は1300円でも、短時間駐めるとけっこう割高になってしまう。
オレはゆっくり走って捜索しているうちに、眼科医の間近に40分200円というところを見つけたのである。同じ敷地には30分200円というところもある。二つのコインパーキングは境界がわかりにくく、車止めの色だけが違うのでかろうじて別々だとわかる状態だった。オレは迷わず安い方に駐めた。眼科医での診察はたぶん40分以内で終わるだろう。そうすれば200円で済むと思ったのである。
眼科医はガラガラで、オレは視力検査をして、眼圧なども測ったあとで診察してもらうと結膜炎ということで、ガチフロという抗生剤の目薬を処方された。そうして診察を終えてコインパーキングのクルマのところに戻った。
オレは眼科できっちりとゼニを払ってしまった。2340円という金額を、財布の中の小銭を動員してきっちり払ったのだ。その結果オレの財布には500円玉と紙幣だけが存在する状況となった。コインパーキングで200円払うことを忘れていたのである。
さて、支払機の前に立って、自分の駐車位置番号を押したのだが、機械が反応しない。何度か繰り返したがそのままである。ふとクルマの方を見ると、なんとフラップが下がっている。そのまま出庫できる状態である。なぜだ?
そのときスーツ姿の恰幅のいい男性が、「兄ちゃん、間違えてはろてしもたわ、払わんでエエで!」と声をかけてきたのである。オレは状況を理解した。それでフラップが下がっていたのだ。オレは自分の駐車料金をその方に払おうとしたが、財布には500円玉と札しかない。おつりをもらうのも変だしどうしようと思っていると、その紳士はスタスタと黒塗りの自分のクルマの方に戻っていった。ちなみにその紳士が駐めたのは、30分200円のスペースである。そちらにもちゃんと支払機が設置されている。
オレは静かにクルマを発進させ、自分のクルマに戻られたその紳士に向かって丁重に頭を下げて、左右を確かめて道路に出た。200円のこととはいえ、その気持ちがとても嬉しかったのである。
このような間違いは自分もするかも知れない。間違えて他のクルマの料金を払ってしまうなんてことが起きた時、普通はあきらめてもう一度払い直すだろう。たまたまそのタイミングでオレが戻ってきたからオレは親切な紳士の存在を知ったわけで、時間が遅かったら気付かなかったのである。
オレは自分に起きたラッキーなできごとを振り返りつつ、もしも自分が同じようなミス、つまり他人の駐車料金を払ってしまったらどうするだろうかと考えた。きっと相手が美人女性なら笑って「すいません、間違えて払いましたからどうぞ」と告げるだろう。わずか200円のこととはいえ。朝からとてもいいことが起きてなんだか嬉しかったのである。
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