2024年03月23日(土) |
伝統校は文化である |
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埼玉県には県立の男子校女子高が今でも名門校として君臨している。浦和高校、浦和第一女子高校はそれぞれ立派な進学成績をほこる名門校である。ところがこの「男女別学」が時代遅れだから共学化したいという動きがあるらしい。とんでもないことである。
オレは生野高校という南河内の片田舎の高校を卒業した。後に生野高校からは吉村洋文というとんでもない嘘つきのペテン師が卒業して大阪府民に多大な迷惑をかけることになってしまったことは本当に残念なことなんだが、とにかくオレが在学している頃はとてもユニークな校風のすてきな高校だった。
数十年そこで教えている主(ヌシ)のような名物教師がいた。「オクリン」と呼ばれた奥村林蔵先生は自習時間に乱入してきては学校の歴史や伝統について語ってくれた。愛校心溢れる名物教師たちが旧制中学から引き継がれたその校風や伝統を守り、次世代の若者がそれを受け継ぐという文化がそこに存在したのである。オレは母校のことを今も誇りに思っている。そこで得た友とは今も交流があるし、同窓会や同期会には進んで出席している。今でもしっかり校歌は歌えるのである。
埼玉県立浦和高校や浦和第一女子高校にも、きっとその伝統を守る多くの名物教師達がいてそして同窓生のネットワークがあるのだろうとオレは想像する。「愛校心」は目には見えないが卒業生達の心の中に息づいているはずだ。
今、大阪では公立高校の伝統校の文化が破壊され、偏差値上位校はただの予備校化していく一方で下位校は廃校にされ、校地は不動産業者に叩き売られるという流れが進行している。教員の人事異動のサイクルも短くなり、新卒者は4年、経験者は7年経つと異動させられるのだ。そんな短期間ではじっくりとその学校の伝統や文化に向き合うことはできない。教員がどんどん入れ替わる中では学校の個性を打ち出すこともできない。公立高校がそれぞれの独自性を失って均質化してしまったらどうして私立高校に立ち向かえるだろうか。大阪では公立つぶしの一方で私立高校に対する授業料無償化などの優遇策が行われている。教育行政を行う側が公教育の役割を放棄しているのである。
伝統校というのは必ず独自の文化を持っている。そして、その文化というのは一度失われると二度と再生できないのである。文化を支えているのは常にそこに存在する生徒や教員であり、学校文化を支える一人の名物教員が異動させられることは取り返しの付かない損失なのだ。愛校心溢れる魅力的な教員がどれだけ多くの生徒の心に影響を与えてきただろうか。オレは高校でお世話になった先生方のことを思う。今の自分はそうした恩師たちの存在抜きには語れない。
男女別学の学校が共学になればすべてが変わる。男子校、女子校の持つ長所も短所もひっくるめてそれが学校の伝統であり文化なのだ。それがいきなり根底から覆るのである。その学校を卒業した多くのOB、OGたちはどれほど悲しいだろうか。
オレは埼玉県民ではないのでこの「県立高校共学化」に関しては見守るしかない。どうか学校の文化や伝統を守ることの大切さをわかって欲しいのである。
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