2020年10月04日(日) |
菅義偉と「馬鹿」について・・・ |
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菅義偉内閣総理大臣が日本学術会議推薦の会員のうち、6名を任命拒絶したことに対しで前回の記事ではその問題をスルーしようとしたマスコミの責任に関して指摘した。その後いつのまにかこの問題に関する議論は、橋下徹や舛添要一のような官邸ヨイショ芸人たちによる「学術会議叩き」という問題の本質をすり替える議論が出てきたり、学術会議はサヨクの巣窟であるという「共産党叩き」の意見が出てきたりしている。
オレはこの流れを見ながらいつも思うのである。どうして世間の人間はアホばかりなんだろう。どうしてまともなディベートができないのだろうかと。問題の本質はそこではないのに、無関係な議論をどんどん繰り広げていくのである。そうして一番大事な本質的な問題は有耶無耶にされてしまうのである。それが実は官邸の狙いである。論点のすり替えというのはこれまで国会でのやり取りで無限に繰り返されてきたことだ。
学術会議のそれぞれの会員はその推薦理由がきちんと説明されている。学問上の業績などがあってそれで正当に推薦されているのである。その推薦に基づいて内閣総理大臣が任命するのだが、もしも任命しないということなら菅義偉はその推薦理由の中にある間違いやウソ、事実と異なる部分などを発見してから「〇〇という理由でこの方は任命しません」というのが筋である。その理由が正当なものであるならば、世論は菅義偉を支持するだろう。
しかし、菅義偉という方は著しく言語能力に欠けている。会話で使えるフレーズが3つしかないのである。
「法律に基づいた行為である」
「理由は説明できない」
「何も問題はない」
この3語で彼のほとんどの会話は構成されているのである。国会での彼の発言を聞いていればそのとおりであることがわかるだろう。だから説明できないのである。
何らかの決定が行われてその理由が説明できないというのはどういうことか。考えてみてほしい。もしも我々がある日突然職場を解雇されて、そして理由を訊いた時に「法律に基づいた行為である」「理由は説明できない」と言われればどうすればいいのだろうか。そのような理不尽なことを堂々と現政権がやってるのである。
それがどんなに理不尽な行為であっても、正当な理由があるのならオレは受け入れよう。もしもオレがある日突然「死刑」ということになっても、そこに正当な理由があるのなら仕方がないのである。ただ世間で普通の生活を送る人たちはいきなり死刑にされることなどないことを知っている。法治国家の日本ではどこかの独裁者の国と違ってそのようなことはない。
国家がその権力を行使して行う行為には必ず正当な理由が必要だ。しかし、その手続きを踏みにじったのが安倍晋三である。彼は逮捕状を執行停止にしてお友達の強姦犯を救ったり、自分のウソを守るために公文書を改ざんさせて近畿財務局の職員を自殺に追い込んだりした。そのいずれも正当な理由などない。そもそも公文書の改竄を正当化するような理由がこの世にあるはずがない。
菅義偉がその任命権をあらゆる場面で恣意的に使うようになった時、彼の独裁は完成する。ここでオレは歴史のたとえ話で説明したい。(菅義偉のような)無学な人間はきっとこのような話は知らないと思うので、彼が自分の行為の意味を理解していないのも無理はない。
中国では秦の時代に趙高という宦官が権力を握って、始皇帝の死後に長子ではない胡亥を二世皇帝として即位させた。陳勝・呉広の乱から広がった内乱はどんどん拡大し、鎮圧のために送った軍も敗れ、都の咸陽には劉邦や項羽の軍が近づいているという状況下で彼は群臣を試すためにある実験をした。趙高は宮中に「珍しい馬です」と言って鹿を連れてきた。さすがに皇帝の胡亥は「これは鹿ではないか」と言ったが、群臣の中には趙高に逆らうことを恐れて馬と答える者と、権力を恐れず鹿と答える者がいた。鹿と答えた者は後に全員処刑された。これが「馬鹿」という言葉の語源である。
それと同じ実験を今、菅義偉がやってることにみんな気づかないのだろうか。彼はさまざまな無理筋のことをやってみて、官邸内の批判者の有無を確かめているのである。批判した者がいれば左遷するのだ。そうして周囲を自分に逆らわないロボットだけで固めようとしているのである。こうして馬鹿による独裁が完成した時、日本という国家は終了するとオレは思っている。
学術会議がどんな団体なのか。それは今は別の問題である。もちろん批判すべき部分があるのならそこは改善の必要があるだろう。学術会議にぜひ取り組んでもらいたいことはあなたたち特権階級の地位が保全されているのに多くの末端の研究者たちが低賃金にあえいでいて満足な研究環境を与えられてないことである。学問の世界は一部の特権階級のためにあるのではなく、多くの研究者たちの努力によって支えられているのである。どうかそのことにも目を向けてもらいたいのである。
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