2019年08月28日(水) |
タバコに未来はない |
携帯用URL
| |
|
投資家のはしくれであるオレは時々所有していない主要株の値動きもチェックしている。それは日本経済の今後の姿を占ううえで大変重要であるからだ。株価は未来の状況を先取りして動く。投資家というのは先見の明がある方々が多いからである。インサイダーはきっと大勢いるのだろう。不祥事の明るみに出る企業は事前に情報を知った株主が売りに出ることも多い。自分の持ち株が確実に値下がりするとわかったら売るのが当たり前で、それをインサイダーだと摘発するのはオレから見れば「アホか!」と言うしかない。
さて、長期的に値を下げ続けてる大型株の代表といえばやはりJT(日本たばこ産業)である。一年前は株価3000円程度だったのが、今は2200円程度と一年間で3割近く株価を下げている。その結果、配当利回りはなんと6.86%(8月28日時点)なのである。
異常なまでに配当利回りが上がる株というのはたいてい倒産する会社である。倒産直前で株価が急激に下がると、見かけの配当利回りは上昇する。実際にはその配当金が株主に支払われる前につぶれてしまうのだが、現実問題としてJTがいきなり倒産することはないだろう。ただ、株価は今後も下げ続けることが確実なので、危なくて投資家としては買うことができないのである。
タバコに未来はない。オレはそう思っている。今や喫煙というのはDQNの習慣となってしまった。まっとうな若者はタバコ吸わないし、大学の入学試験の偏差値が下がれば喫煙率が上がる。つまり、喫煙という習慣は今はバカの目印として機能しているのである。企業の中には採用時点で喫煙者を排除しているところもある。星野リゾートなどが有名である。
本業がダメになっても、倒産せずに切り抜けて成長した企業もある。富士フィルムなどがその代表である。フィルムカメラの衰退の中でアメリカのコダックは倒産したが、日本の富士フィルムは見事にその技術力を生かして生まれ変わったのである。オレはJTもそんなふうに生まれ変わるのかと期待していた。しかし、JTの経営陣は馬鹿ばかりなので逆に拡大路線を取ったのである。
海外のたばこ会社を買収し、日本でタバコの売り上げが落ち込む分を海外展開でカバーしようとした。今後の訴訟リスクなどを考えればそういう方向性が決定的に間違ってるということを幹部は誰も考えられなかったのである。
もしもJTに一発逆転の目があるとしたら、それは大麻の解禁と国内でJTが大麻を独占販売することである。政府が税収増を狙って大麻解禁なんて愚かな政策を繰り出せばたちまちJTは復活するだろう。オレはそんなことには絶対になってほしくないのだが、政府にもJTにも大勢の馬鹿が存在するので100%そんなことが起きないかというとその
保証はできない。
未来のない企業といえば、日本の都市銀行も同様だ。みずほフィナンシャルグループの株価は8月27日終値で152。9円、配当利回りはなんと4.9%なのである。銀行株には未来はないと思われてるから株価は下がり続け、配当利回りはとんでもない水準にまで上昇しているのである。
年金資金で運用されているGPIFは、JTやみずほフィナンシャルグループの株にも大量に投資している。もしもきちんと配当金が払われるのならば、年金でこういう株を保有してその配当利回りを年金支払いに回すというのは方法論としては正しいかも知れない。アベノミクスが失敗に終わり、ここからの株価上昇がもう見込めなくなった今、年金水準を維持するにはそういう方法しかないということもオレは考える。
しかし、いずれJTも赤字になるし、みずほフィナンシャルグループも詐欺のような投信販売が立ち行かなくなる。かんぽ生命が老人に対する詐欺営業で訴えれたように。騙せる相手の高齢者がいなくなったらビジネスモデルは崩壊する。若者の喫煙率が低下する一方で喫煙者の高齢者がどんどん死ぬとタバコの売り上げは劇的に下がる。東南アジアなどにタバコを輸出することは、同時に喫煙に由来する病気も輸出することであり、そこには正義などない。
タバコに未来はない。JTは企業としてまだ生きている間にさっさと会社を解散させて清算すべきである。おそらくJTの幹部にそういうことを考えられるオレのような頭のいい人間は一人もいないだろう。数十年後、JTは旧日本軍のように満身創痍の中で倒産するのである。
←1位を目指しています。
前の日記 後の日記