2015年07月08日(水) |
最後はその株を誰が買うのか? |
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日経平均が2万円を超え、楽観ムードだったのが一変して急落している。ギリシャの債務問題に端を発して世界で株安が発生し、その一方で上海株のバブルもはじけたために売りが売りを呼ぶ展開となっている。今の証券取引の世界はコンピューターによるプログラム売買が進んでいるので、一定の割合で下がれば自動的に損切りする仕組みで、売りが売りを呼ぶという展開になりやすいのである。
日本株のこれまでの上昇を支えてきたのは公的資金によるETF買いである。株価指数に連動するETFが買われると、その構成銘柄の株が買われることになり、自動的に株価は上昇する。ここしばらくの動きを見ていると日経平均が0.5%下がれば自動的にETF買いが発生するような感じに思える。そうしてどんどん株価はつり上げられてきたのである。しかし、いつまでこれを続けるのだろうか。
年金資金などで株を購入した結果、株券を組み入れている率が増加するわけだが、株価というのは永遠に上がり続けるわけではない。今は上昇していてもいつかは値上がりが止まる。そして、これ以上上がらないとなったら今度は売られる。現物株が売られるだけではなくて、大量の空売りも入る。「もう上がらない」となったら「ここからは下がる」しかないのが株式投資の世界である。そのまま高値で安定するなんてことはありえないのである。
日銀が大量のETF購入に踏み切り、そして年金資金も資産の保有割合の中の株式比率を高めてきているわけで、それが今の東証の株価上昇を支えている。そして予定の金額が残っている限りはこの上昇は続くだろう。ギリシャ問題で株価が暴落している今はまさに絶好の買い時である。まだ株価上昇用の公的資金は十分に残ってるからだ。
そもそも日銀がETF購入という形で株式市場に介入してもよいのだろうか。そうして購入したETFはその後どうするのか。永久に売却しないで保有し続けるのか。額面価値は上昇しているから損はしてないという名目で。
購入したETFを市場で売却せずに持ち続ければ確かに株式市場の売り要因にはつながらない。しかし、購入資産が一定以上のマイナスになれば自動的に売却されるという仕組みは当然ながら導入されているだろう。いきなり売られてしまうと困るので、下がらないようにする必要があり、その結果として買い続けるということになる。日経平均株価が2万円を越えてからもETFやリートは買われている。リート購入には本当は供給過剰のハズの住宅価格を買い支え、少子高齢化で家や土地はこれから値下がりするという事実から国民の目をそらず必要もある。まあそういうわけで官製相場がこうして維持されているわけだ。
今、ギリシャ問題と中国の株価マネーゲーム崩壊で世界同時株安が起きている。しかしこれからはいずれも問題がはっきりしてるので、落ち着いたらまた株価は上昇するだろう。そしてこの値下がりの中も、ためらってる個人投資家をよそに、ETF購入は粛々と行われている。
日銀の資産の中でどんどんふくれあがったETFは最後はどうなるのだろうか。そのまま放置されるのだろうか。
株価が今後永遠に下がらないという前提でどんどん膨らみ続けるETF残高は、国と地方の借金の合計が1000兆円を超えたのと同じく日本の大きなリスクとなって存在し続けるだろう。日銀がどんどん市場に供給したゼニが、株価を上昇させ、東証の時価総額をつり上げる。しかし、その実態は幻なのである。
もっとも貨幣経済という仕組みそのモノが共同幻想に支えられたシロモノであり、人々が明日もそのゼニには価値があると信じてるから成り立ってるわけで、我々は現在のシステムが維持されることを前提にさまざまな価値観を共有している。
昔、国債の発行残高がまだ300兆円くらいだった頃に、「このまま増えれば大変なことになる」と警鐘を発した人達が大勢いた。しかし、財政赤字は解消するどころかどんどん増え続け、いつのまにかこんなに借金は増加したのである。しかし、借金と同時にそうして市中に供給されたゼニは日本経済の発展に寄与した。日本全国に高速道路や新幹線を建設し、少なくとも日本の表面上の豊かさは向上した。借金をしながら豊かになるという理想的な形を実現したわけだ。
しかし、十分に豊かになった日本はそのまま少子高齢化でゆるやかな滅びへと向かっている。そのときにこの借金はどんな破壊力を持つようになるのか。それを見届けるにはオレはかなり長生きしないといけないだろう。それは20年くらい先のことだろうか。
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