2013年07月05日(金) |
『きっとうまくいく』は最高のインド映画である |
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インドは世界で一番多くの映画が制作されている国である。そのインドでもっとも高く評価された映画ということは、すなわち世界一面白い映画と言っても過言ではない。特殊な撮影技術を用いたわけでもなく、世界的に有名な俳優が出ているわけでもない。(それはただ単にインドの映画スターをオレが知らないというだけなんだが)。2010年にインドアカデミー賞の全16部門を受賞したナンバー1映画が、この『きっと、うまくいく』という作品なのである。なぜ日本で公開されてなかったのかとオレは驚くのだ。ハリウッド映画に偏重してる日本の馬鹿映画関係者に頼っていては本当に良い映画に出会う可能性は限られる。しかし、ヤフーの映画関連の記事を見ると見てきた人たちの圧倒的多数がこの映画を「最高の作品」と賞賛していた。それでオレは観てきたのだ。
インド映画は別名マサラムービーと呼ばれている。マサラというのはスパイスのことなんだが、いろんなスパイスを混ぜてカレーを作るように、いろんな要素をぶちこんで映画を作ることになる。その中でも「ナヴァ・ラサ」という9つの情感を取り入れるのがインド映画の基本らしい。その9つとは
・シュリンガーラ (恋心/ロマンス)
・ハースヤ (笑い/ユーモア)
・カルナ (悲しみ/涙)
・ラウドラ (怒り/復讐)
・ヴィーラ (勇猛/アクション)
・バヤーナカ (恐怖/スリル)
・ビーバッサ (嫌悪/敵)
・アドブタ (驚き/サスペンス)
・シャーンタ (平安/ハッピーエンド)
なのである。『きっと、うまくいく』もまさにインド映画らしい作品でこのすべての要素がぎっしりと詰まっているのだ。
この映画の主人公は3人のお馬鹿な大学生である。なにしろ元の題名は「3 idiotos」(3人の間抜け)なのである。超学歴社会のインドでは優秀な学生は医師やエンジニアを目指す。その工科大学を舞台に物語は展開する。そこには学歴社会に対する痛烈な批判もあれば、今のインド社会への風刺もある。インドとはどんな国なのか。それが実によくわかる作品なのである。170分という時間はたちまち過ぎていく。そして物語前半の多くの伏線が最後にみごとに回収されていく。もしも2回観るなら見落とした要素に改めて気づかされるだろう。長い作品でありながら無駄なところなどひとつもない。ミュージカルシーンはそれほど多くなく、インド映画としての必要最低限程度である。もちろんそのシーンもこの映画の魅力の一つなのだが。
時に多くの要素を盛り込みすぎて破綻している映画がある。そう、完璧な作品はなかなか困難なのだ。「何がテーマなのかって、全部だよ!」ってなかなか答えられるものではない。でも、全部の要素を盛り込んでも破綻しない完璧な作品だってちゃんと作れるのだ。映画大国インドが「どうだ、これが映画だぜ!」とハリウッド映画に対してぶつけた挑戦状がこの作品だ。ストーリーのおもしろさと役者の演技で作り上げるのが真の映画だと我々に語っているのである。
舞台はインドの超エリート大学ICE、そこでの3人の学生生活を中心にこの作品は描かれる。その学生生活がメインの物語である。そして同時進行で10年後の物語が描かれる。その両方のお話がそれぞれ関連し合って進んでいく。
インドは学生の自殺が多い。学生たちは多くのストレスを抱えている。そうした悲劇ももちろん描かれる。だからこの作品はただのお笑い映画ではなく社会への問題提起の要素もある。観客は観ながら大爆笑し、そして必ず涙を流す。だからハンカチは忘れてはならないのである。その悲しみを乗り越えて3人の主人公は成長していく。
これ以上語るとネタバレになってしまうのでオレはもう書かない。ただ言うことは一言である。DVDなんか待つな! 今すぐに検索してやってる映画館を探して見に行け!と。あの170分を集中して観るには映画館の中しかない。家でDVDを観るのはだめだ。他の観客の反応がわからないじゃないか。
これだけ話題になってるのである。きっと新たに上映する映画館も出てくるだろう。地方の方もきっとチャンスはあるだろう。
いつ観るのか?今でしょ。
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