2011年06月16日(木) |
書評『明日、夫が逮捕されちゃう』〜シバキヨ |
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平和な日常を過ごしている我々にとって、新聞で読むさまざまな事件やそこに登場する凶悪事件の容疑者たちは自分とは無縁の存在であると誰もが思ってるだろう。何かの犯罪の「容疑者」としてある日突然逮捕、拘留されることなど普通は誰も考えないわけである。もしもサラリーマンがそういうことになれば、当然のことだが勤めている会社はクビにされるだろうし、自営業ならばその逮捕・拘留中の間の収入はゼロである。オレのような私立学校に勤める教員の場合は「学校の対面を傷つけた」ということで解雇されるかも知れない。しかし痴漢冤罪が実際に起きていることや、警察官による誤認逮捕や容疑者のでっち上げなどの事例を考えた場合、決して誰もが絶対に逮捕されないとは言えないのである。身に覚えのない罪である日突然自分が容疑者とされ、逮捕拘留されることがあるかも知れないのだ。
オレはいくつかの掲示板を管理・運営しているが、そこには膨大な量の出会い系サイトの迷惑書き込みや偽ブランド品ショップの宣伝や、その他意味不明のコピペが張られる。オレはそれをしょっちゅう削除しているわけだがあまりに悪質なものはその書き込みのIPアドレスをもとにして書き込み主のプロバイダに情報開示請求をすることがある。すると「警察に被害届を出してくれ」という返事が来る。おそらくそのコピペをやってる馬鹿は「そんなことで逮捕なんて・・・」と思ってるだろう。オレも忙しいので面倒なんだが、もしも気まぐれで「こいつが逮捕されると面白いな」と証拠をそろえて被害届を出せば、ある日突然その馬鹿の家に警察官が逮捕しにくるわけだ。その場合は悪いのはその馬鹿だから自己責任である。
「行政書士」という職業の方が実際にどんな業務を行っているのか。オレは「カバチタレ!(1) (モーニングKC (657))」というモーニングに連載されていた漫画で知った。その漫画から得ていたイメージは、弁護士と協力し合って弱者の権利保護のために戦う正義感溢れる方たちというものだった。行政書士の仕事というのは、行政機関(市役所・警察等)への手続きをしたり、権利義務・事実証明書類の作成手続きができるというもので、たとえば内容証明郵便の作成などがこれに該当する。これは弁護士法に定められた「法律事務」とも重なることになる。ただ行政行政書士は裁判所に関する手続きはできない。だからそれが事件性を持ち、裁判になった場合はもう関われないのだ。もちろん示談などを直接交渉することもできない。そうなると弁護士の出番である。それで弁護士と協力し合って業務を行えばよいのだが、ところがその「弁護士と協力し合って」という部分はどうも実際は違っていたようである。それを知ったのは最近読んだ、「明日、夫が逮捕されちゃう!?」という本のおかげである。
サラ金の過払い金の請求代行ビジネスで最近はかなり稼いでるというウワサのある弁護士業界だが、実際のところがどうなのかオレはよくわからない。行政書士のビジネスと弁護士のビジネスには一部重なり合うところがあり、行政書士は弁護士の領分を侵さないように慎重に仕事をしているわけだが、弁護士から見ればそれは「自分たちの米びつに手を突っ込む行為」というふうに見えるらしい。
夫の不倫相手から慰謝料を請求するための内容証明郵便を代書作成した鳥取県在住のある行政書士が、その不倫相手の女性についた弁護士から「非弁活動」だと訴えられ、毎日新聞で逮捕報道されてしまう。本書は訴えられた行政書士を主人公にしたコミックエッセイである。
オレは何度かこの暴言日記で悪徳弁護士のことを批判している。もしかしたら弁護士会ににらまれてるかも知れない。また政治家や経団連元会長のことも批判しているし、ハイエナのようなビジネスに精を出す銀行や明らかなインサイダー取引をしているクソどものことも書いてる。そういう連中がオレのことを「目障りなオッサン」と思って突然適当な罪名をでっち上げて告発し、オレを逮捕させようとするかも知れない。その危険は十分にあるのだ。そんな時に一般人の感覚としては「悪いことは何もしていないから大丈夫」と思うかも知れない。しかし、新聞や2ちゃんねるを見ている人たちの感覚では「逮捕されるくらいだからよほど悪いことをしたのだろう」となってしまうのである。悪いから逮捕されるのではなく、逮捕されたから悪いヤツというふうに順序が逆転するのだ。
弁護士さんたちの中には弱者の権利を守るために戦ってる立派な方々が多数いる一方で、交通事故の示談金をつり上げるためにピンピンしてる人を寝たきりの障害者に仕立てる詐欺野郎もいる。依頼者から預かったゼニを横領着服するという事件も報道されている。もちろん都道府県の弁護士会はそうした悪徳弁護士に対して処罰を科すわけだが、これがまた仲間内の処分だから甘すぎるのだ。5月28日の日記で触れた悪徳詐欺弁護士に対しても「停職3ヶ月」という実に軽いペナルティなのである。このように「自浄能力」がないというのは実に困ったことである。悪徳弁護士の多くはこうして野放しになっているのかも知れない。そんなクソ野郎を排除してこそ他の正義のためにまっとうにがんばってる人たちが評価されると思うのだが、どうもそうではないのが実態らしい。
行政書士業界には「弁護士とは争わない」という暗黙のルールがある。この漫画はそのルールに逆らって「自分は間違っていない!」と敢然と立ち向かうとある行政書士の物語である。読んだ後で義憤に駆られたオレはこの本を一人でも多くの方に勧めたくなったのである。
作品の導入部分を読む アマゾンで購入する→明日、夫が逮捕されちゃう!?
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