2010年08月26日(木) |
ガンダムと心中したかったオッサンの悲劇 |
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ガンダムのプラモ、通称「ガンプラ」が命よりも大切な男がいた。彼はその趣味を否定されたことに対して怒り、そしてついには家に火を放ってガンプラもろとも焼身自殺しようとした。そこまでガンダムを愛することができる馬鹿、いやガンダムオタクがどれだけいるだろうか。命を賭けて何かを愛することができるというのは尊いことなのである。それがたとえ生身の人間ではなくてプラモであるとしても、人生を賭けてそれを愛したこのオッサンをオレはなかなかの馬鹿・・・いやいや、たいしたヤツだと思うのである。
この馬鹿の裁判が行われている。産経新聞の記事を引用しよう。
「ガンプラは人生の相棒。一緒に死ぬ」 自宅放火の30歳男、初公判 2010.8.25 06:57
このニュースのトピックス:ガンダム・プラモデル
人気アニメ「機動戦士ガンダム」のプラモデルを家族に処分されたことに激高し、自宅に放火したとして現住建造物等放火の罪に問われた住所不定、会社員、高部義文被告(30)の裁判員裁判の初公判が24日、神戸地裁姫路支部(森浩史裁判長)で開かれた。高部被告は起訴状の内容を認めた。
検察側は冒頭陳述で、高部被告がプラモデルの箱200〜300個を部屋の天井近くまで積み上げていたことを説明。
この一部を家族に処分されたことから激高し、「ガンダムのプラモデルは人生をともにする相棒のような存在。捨てられるくらいなら一緒に焼け死のうと考えた」などと指摘した。
起訴状によると、高部被告はプラモデルを処分されて自暴自棄になり、平成21年8月9日午後2時10分ごろ、当時住んでいた兵庫県加西市の2階建て木造住宅に放火し、約220平方メートルを全焼させたとしている。母親は逃げて無事だった。
息子がガンプラを「命よりも大切」と思ってるのに、母親はその趣味を理解できずに「いつまでこんな子どもみたいなおもちゃ集めてるのか」と思っていたわけで、無理解な母親が悪いのである。母親が息子の趣味に理解を示せばこのような悲劇は起きなかっただろう。それがオレには実に残念なのだ。
さて、その放火事件自体は一年前に起きていたのだが、その記事も産経新聞から引用しておきたい。
ガンダム母に捨てられ暴走 29歳男が自宅に放火 2009.8.12 09:18
このニュースのトピックス:ガンダム・プラモデル
兵庫県警加西署は10日までに、ガンダムのプラモデル(ガンプラ)を母親に処分されたことを悲観し、自宅に火を付け全焼させたとして、放火の疑いで同県加西市の男(29)を逮捕した。男は大のガンプラマニア。「大切なガンプラを処分され、もう生きていけないと思った」などと供述しているという。
東京・お台場の等身大像が話題を呼ぶなど、誕生30周年を迎えたガンダム。人気は不滅だが、ガンプラマニアによる“アツすぎる”放火事件が起こった。
逮捕されたのは兵庫県加西市東横田町の工員、高部義文容疑者(29)。逮捕容疑は9日午後2時10分ごろ、自室に灯油をまき火を付け、木造1部2階建て約250平方メートルを全焼させた疑い。
同署によると、高部容疑者は大のガンプラマニアで、ガンプラを自室に数多く飾っていたが、母親(55)にかねてから「年も年だからいい加減にしなさい」と自身の趣味を否定されていた。
それでも収集をやめない高部容疑者に母親は業を煮やし、本人に無断でガンプラをゴミ袋に詰め、あとは捨てるだけの状態で自宅に放置した。
その後、自室に大切なガンプラがないことに気付いた高部容疑者は、パニック状態。「自殺しよう」と自室に灯油をまき火を放った。
その後、自身も灯油をかぶり火を付けようとしたが、隣室にいた母親に「何しとる?」と声をかけられ、われに返り、燃えさかる自宅から母親と脱出。同居する祖母と弟は外出中で無事、2人にもけがはなかった。
この放火で家も全焼、ゴミ袋から“救出”すれば助かったはずの、大事な大事なガンプラも燃え上がってしまった。
高部容疑者は同署の調べに「ガンプラがないことに気付き、生きていけないと思った。死のうと思った」と供述しているという。
捜査関係者は「いい大人がプラモデルで放火なんて…」と完全にあきれていた。
“ガンプラ”オークションで135万円!?
ガンプラの中には高額で話題になる逸品もある。2007年3月にオークションサイトに出品されたガンプラは、市販されているものを出品者がカスタマイズしたオリジナル品。定価7350円だったが、マニアが競り合い、ナント135万6000円で落札された。また、同年4月にスイスで開催された宝飾品の国際見本市では、プラチナを使用した、約3000万円のガン“プラ”が展示され、“セレブなガンプラ”として話題をさらった。
他人から見ればただのガラクタであっても、本人には宝物であるというものがたくさんある。それを否定することは誰にもできない。大切なものが失われたという勘違いから、ガンプラと心中までしようとしたこのオッサンの気持ちを「あほか!」と単純に否定するのはかわいそうな気もするのだ。
世間にはざまざまなコレクター(蒐集者)が存在する。もっとも多いのは「お金」の蒐集者である。命よりもお金が好きというヤツも多いし、それを手に入れるためには誰かを殺すこともいとわないという連中もたくさんいる。しかし、「お金」の蒐集者は大変多いために彼らの論理は世間でむしろ支配的なのである。「お金」を集めない人や、「お金」に興味がない人はまるで人生の意欲がないかのように全否定される始末である。要するにどんな蒐集者も多数派になれば勝ちなのだ。
女性の下着蒐集者も世間では非難の対象である。それが正当に店で購入したものを収集すればなんら問題はないのだが、なぜかこの下着蒐集者たちにとって、店で販売されている新品の下着には全く価値が無く、誰かがはいた中古品でないと値打ちがないのだ。そういうわけでこの下着蒐集者たちは窃盗という手段によって蒐集するのである。彼らの崇高な蒐集癖は、ただその手段が窃盗であるという点で全否定されるのだ。どんなにすばらしいコレクションを作っても、いつかは逮捕されてただの変態野郎と罵倒されるのである。
私は何人かのガンダムおたくを知っている。ガンダム好きが嵩じて、ついには「慈恩(ジオン)弘国」という名のお好み焼き屋を開店した方もいる。ザク焼きやドム焼きなどのメニューが存在し、もちろん店員はみんなコスプレイヤーである。このようにちゃんとその趣味を交流に役立てている方もいるのだ。せっかくの趣味を仲間との交流などで積極的に活かす方向に機能させられずにすべてを消失させてしまったことをオレはとても残念に思うのである。彼は愛するガンプラと共に焼けて亡くなることが一番幸せだったのかも知れないが。
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