江草 乗の言いたい放題
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2010年01月03日(日) 箱根に強い風が吹きました!        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

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 昨秋、箱根駅伝を目指す大学陸上部の映画「風が強く吹いている」が公開された。大阪に住むオレにとって箱根駅伝はそれほどなじみがあるわけではない。ただ昨年の箱根駅伝に彗星のように登場した東洋大の一年生、柏原竜二の活躍は覚えている。一年前の日刊スポーツの記事を引用しよう。

 神を超えた「東洋の魔神」柏原/箱根駅伝
 箱根駅伝に、スーパールーキーが現れた。山登りの5区で、東洋大の柏原竜二(1年)が1時間17分18秒の区間新を樹立し、出場67回目のチームを初の往路優勝に導いた。トップと約5分差の9位でタスキを受け、8人をごぼう抜き。「山の神」と称された07年の今井正人(当時順大)の記録を47秒も更新した。高校時代は無名だった「天然素材」が、不祥事に揺れた東洋大に明るい話題をもたらした。
 1人だけ、あきらめていない男がいた。トップの早大が通過してから、4分58秒が経過。逆転は絶望的と思われた小田原中継所で、柏原の心に火が付いた。「行くしかないな」。タスキを受け取ってすぐに、1人を抜いた。最初の5キロを14分台で突っ込んだ。佐藤監督代行が指示する15分20〜30秒というペースは無視。天下の険に勝負を挑んだ。
 海抜10メートルから874メートルまで駆け上がる、勝負の山登り。頂上までに6人を抜き、最後のターゲットは首位の早大・三輪だけになった。勢いのまま19・2キロすぎに抜き去った。苦手の下りで追い付かれたが、再び振り切った。あとは一人旅。33年の初出場以来、1度も優勝のない東洋大に、19歳の新入生が往路Vをもたらした。
 「全部苦しかったです。オーバーペース気味に入ったので、腹筋がすごい痛くて…。途中でやばいかと思ったんですけど、何とか持ちました」。記録は「山の神」こと今井を47秒も上回る1時間17分18秒の区間新。「時計が間違っていたんじゃないかと、今も思います。超えた実感が全然ありません」。
 前夜、平塚の宿舎で見た初夢は「1時間18分台で走り、往路優勝−」。現実は、夢を超えた。佐藤監督代行も「フォームがいい訳じゃないけど、力強さが違う。馬力で行くような感じ。体が強いから、故障もしない。山の神を超えちゃったら、何て言えばいいんだろう」とうなった。山形・蔵王など8〜9月にかけて起伏のある山中での強化合宿が、ここで生きた。
 高校時代は、インターハイも高校駅伝も出場なし。いわき総合高の恩師・佐藤修一監督は「強いチームではなかったので、目的を達成するために、抜かれてもいいから、前へ前へ行こうという姿勢だけを教えたんです」と振り返る。貧血を克服すると、強気の走りが磨かれ、昨年1月の都道府県駅伝の1区で区間賞を獲得し、頭角を現した。
 同時に、山へのあこがれが芽生えた。福島県チームで一緒になった今井に聞いた。「山登りは、どんなところですか?」。山の神の答えは「やりがいのあるところだよ」。入学してから、佐藤監督代行らに希望区間を聞かれると「5区をやりたいです」と即答した。志願した山を、怖がらずにねじ伏せた。
 12月1日に部員が強制わいせつで逮捕され、大学側は集団での応援や横断幕を自粛。選手たちは、やじを受けることも覚悟で箱根路に臨んだ。「こんなに観客が多くて、1キロだけでうるっときて泣きそうになった。走れることへの感謝が身に染みました」と柏原。誰より多い声援を受け、ニューヒーローが誕生した。【佐々木一郎】 [2009年1月3日9時27分 紙面から]


 昨年、トップの早大との4分58秒の差を逆転し、東洋大に奇跡をもたらしたあのスーパールーキーが、今年はさらにパワーアップして登場したのである。今年も東洋大は一位から離れること4分26秒で5区のスタートを切ったのだが、新・山の神こと柏原竜二がみごとにごぼう抜きで首位に立ち、2年連続の往路優勝を果たしたのだ。今度は読売新聞の記事を引用しよう。

東洋大往路2連覇、柏原が区間新…箱根駅伝5区
 トップから4分26秒差の7位でスタートした注目の東洋大・柏原(2年)が、6人抜きの快走を演じ、逆転でチームを2年連続の往路優勝に導いた。
 タイムは1時間17分8秒で、昨年自身が作った1時間17分18秒の区間記録を10秒更新した。
 レースは、明大・久国(4年)が首位でスタート。柏原は、4キロ過ぎで先を行く3人を抜き、一気に4位へと浮上。さらに、6キロ手前で早大・八木(2年)を突き放し、3位に順位を上げた。10キロ手前では、日体大・長尾(4年)をとらえ、2位へと上がった。
 柏原は、中間点をやや過ぎた12・7キロ付近で明大・久国を抜き去り、トップに躍り出ると、その後は独走状態でゴールに駆け込んだ。
 2位以下は混戦となり、16・6キロ付近で、日体大・長尾が明大・久国を抜いて2位浮上。18・8キロ付近では、山梨学院大・大谷(4年)が日体大・長尾をかわし、2位へと上がった。
 トップの東洋大のタイムは5時間32分2秒。3分36秒差の2位に山梨学院大、3位には日体大が入った。以下、4位中大、5位東農大、6位明大、7位早大、8位駒大、9位青学大、10位城西大、11位学連選抜、12位東海大、13位日大、14位上武大、15位帝京大、16位中央学院大、17位専大、18位法大、19位亜大、20位大東大の順にゴールした。
(2010年1月2日13時55分 読売新聞)


 4分26秒差を逆転しただけではなく、2位に3分36秒も差を付けたわけで5区だけで8分近く他を上回った計算になる。まさに超人的な活躍である。オレは大学サイクリング部の頃、自転車でこの箱根の坂を登ったことがある。だからそのハードさは十分に知っている。それだけにこのタイムがどれほど驚異的であるかよくわかる。柏原は昨年、一年生の時にすでに区間新を更新しているわけだが、過去の大会の歴史の中には多くの山登りのスペシャリストたちが存在したはずだ。その幾多の先輩たちを超えて彼はその頂点に立ったのである。これは恐るべきことである。

 これだけ寒いとケニア勢も力を発揮できないだろう。きっと寒すぎて調子が上がらなかったはずである。そして一人でも調子の極端に悪い選手がいればもう勝てない。それも駅伝という競技の宿命だ。一定レベル以上のランナーを10名揃えないといけないのである。しかし、東洋大の柏原は駅伝が団体競技であるということを超越し、一人で一気に逆転するという離れ業を演じたのである。5区で次々と抜かれたランナーたちにはその速さが人間業とは思えなかっただろう。

 オリンピックのマラソンは記録が出やすいように平坦なコースで行われる。もしもそのマラソンが起伏の激しいコースで開催されるのならば、登りのスペシャリストである柏原竜二は金メダルを狙えるかも知れない。オレはそれが少し残念である。彼が駅伝の世界のスーパースターとして終わるのではなく、フルマラソンで力を発揮してくればとオレは期待してしまうのだ。彼が今後どんな活躍をするのか、オレは楽しみなのである。


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