江草 乗の言いたい放題
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2009年02月02日(月) ジャストシステムの夢        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

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 オレは日本語ワープロとしてずっと一太郎を使い続けている。最初に使った一太郎はVer3だった。その後Ver5になってからそれを一番長く使った。一枚のFDですべて収まったVer3を、初代98ノートである9801Nで使っていたことを思い出す。モノクロ液晶にNEC製のV30というCPUを載せたマシンだった。Ver5になってHDDが必須となった。確かFD15枚くらいで提供されていて、HDDにインストールするのがなかなか大変な作業だった。その後Ver5の一太郎を2000年頃までは使っていただろうか。長いことオレはDOSマシンである98ノートをメインで使っていたからである。今はWINDOWS/XP上で動く一太郎2004を使っている。毎年のように新Verが出てくるのだが、一太郎の機能はVer5の時点でほぼ完成していたと言える。今、オレが試験問題を作るのに使ってる機能は、Ver5の頃にはほとんど搭載されていた。

 かつて一太郎がWINDOWSに先駆けて登場させたWINDOWシステムがあった。ジャストウィンドウと呼ばれるモノである。オレはそのジャストウィンドウを搭載したパソコンで、他のMS-DOSアプリもそのジャストウィンドウに登録して、今のWINDOWSが持ってるようなGUIの機能を使っていたのである。まだWINDOWS/95が登場する以前のことだ。しかし、そんなものが普及して日本から世界標準になってしまっては困るので、通産省を通じてマイクロソフトは圧力をかけてきた。その一方で富士通などのパソコンメーカーに対して、出荷時にWINDOWS/95にMSワード、エクセルを搭載した形で販売すること(抱き合わせ販売)を強要した。この抱き合わせ販売に多くのパソコンメーカーが屈したこと、そしてジャストウィンドウをより進化させたジャストウィンドウ2の開発がストップしたことでマイクロソフトは日本支配を完成させたとも言えるだろう。

 もしもあの時、通産省の官僚がビルゲイツに屈することなく国産品のジャストウィンドウの擁護に回っていれば、あるいは現在の世界標準はWINDOWSではなくてジャストウィンドウだったかも知れないのだ。そうなればジャストシステムの浮川和宣社長は世界一の大富豪になっていたかも知れない。そして世界のパソコンユーザーはヴァージョンUPするたびに重く大きくなってパソコンを買い替えることを強要されるWINDOWSに悩まされることもなかったのかも知れない。もっともジャストウィンドウがMS-DOS上で動く一つのアプリケーションであったという宿命を考えれば、ビルゲイツがなんらかの仕様変更をMS-DOSに与えるか、あるいはMS-DOSそのものに莫大な使用料を課すことで対抗してきたかも知れないのだが。

 真偽のほどは定かではなく、単なるウワサのレベルでしかないのだが、ジャストシステムの社員の中にはマイクロソフトに引き抜かれた者もいたという。もっとも用済みになればさっさと捨てられたというオチがつくのだが。もしもその話が本当ならば是非とも関係者から話を聞いてみたいものである。

 日本語入力システムとしてATOKはMS-IMEなどよりも遙かに優れているとオレは思っている。もちろん自分が使うパソコンではATOKが標準だ。しかし、職場のパソコンを起動するといつもMS-IMEが自然に立ち上がる。いちいち切り替えないとATOKは使えない。世間にはワードしか使えない人が増えた。いや、ワードしか使えないといういい方はおかしいかも知れない。ワードを使うことがパソコンユーザーの標準となり、オレのような一太郎ユーザーの方がマニアックな変わり者ということになってしまったのが現状だからである。

 初心者向けのパソコンでは購入時にオフィス2007が標準で搭載されてることが多い。これもマイクロソフトの抱き合わせ販売戦術のたまものである。仕事でワードやエクセルを使うことが多いために家庭用のパソコンでもそれが搭載されていないと不便なのはよくわかる。しかし、仕事でワードやエクセルを使わない人にとって、パソコンに不足してる統合ソフトはジャストホームの方が便利だとオレは思うのである。その一つでワープロも表計算も写真のアルバムもできる。値段もMSオフィスよりもずっと安いはずだ。しかし、残念ながらジャストホームを標準で搭載した低価格パソコンはソーテックが以前に出していたくらいで今はどこにもない。ユーザーが一太郎やATOKを使うためにはわざわざ別に買う必要があるのだ。

 一太郎の便利な機能として、全文にルビを振るというのがあるが、そのルビの範囲を「小学校6年以降で出てくる漢字から」とかいうふうに設定できるのである。こういうのは日本全国の中学の入学試験問題を作らなければならない学校では必須の機能である。ワードにそれに対応するどんな機能があるのかはワード使いではないオレにはわからないのだが、少なくとも一太郎では日本語文書に必要な機能はほぼすべて網羅されているとオレは思っている。もう20年以上の一太郎使いであるオレは、目の前に用意された文書の寸分違わぬコピー品を、一太郎を用いて完成させることができる自信がある。

 Windows Vista が一般ユーザー向けに発売されたのはちょうど2年前である。もうかなり普及してるみたいだが、オレはXPからVistaに乗り換える気は全くない。XPに乗り換えたときもしぶとく98やMeを使い続けてからのことだった。少なくとも自分が使っていて全く不自由を感じていないOSを、わざわざゼニを出して変えることの意味はないとオレは思っている。もしも今みたいにメモリが安くならなかったら、Vistaを安定動作させられるスペックを手に入れるためにはかなりの出費が必要だっただろう。しかし、メモリ価格の暴落という追い風を手に入れてもVistaの普及が広がらないというのも皮肉な話である。

 かつて徳島のちっぽけな会社が、あの巨人マイクロソフトに真っ向から挑もうとした。その果敢なチャレンジは味方であるはずの通産省がメリケン野郎へ寝返ったことによって足元をすくわれ、木っ端みじんに打ち砕かれてしまった。もしもジャストウィンドウが世界標準となっていれば、今のパソコンを巡る状況はどうなっていただろうかとオレは想像するのである。浮川社長は今のマイクロソフトの戦略に対してどう感じているのだろうか。


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