2007年07月07日(土) |
さおだけ屋はなぜつぶれないか |
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「さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学」という以前話題になった本がある。さて、このタイトルとどう関連するのかわからないが、さおだけ屋がつぶれない真の理由が今回明らかにされたのである。読売新聞から次の記事を引用しよう。
さおだけ屋トラブル多発、2本1000円→「1本2万円」
「2本で1000円」などと言って移動販売している物干しざおの購入を巡り、トラブルが急増していることが5日、国民生活センターの発表でわかった。
呼びかけとは異なる高額なさおを購入させられ、被害に遭う例が大半で、平均契約購入金額は約6万5000円。悪質な「さおだけ屋」が暴利をむさぼるからくりの一端が浮き彫りになった。
同センターによると、全国の消費生活センターに寄せられた物干しざおなどに関する相談件数は、年々増え、2006年度は639件。01年度の288件に比べて約2・2倍になった。相談件数の9割は移動販売で購入しており、女性や高齢者の被害が目立った。
40歳代の主婦は、「2本で1000円」とアナウンスしていた移動販売車を呼び止め、2本買おうとしたところ「こっちの方がさびない」とステンレス製を勧められた。値段を聞いたが返答はなく、物干し台に合わせて切ってしまってから「1本2万円」と言われた。
消費者の目の前でさおを切り、買わざるを得ない状況に追い込んだり、物干し台が腐っていると言い、セットで買わせたりする悪質なケースが目立つ。いずれも巡回中の業者を呼び止めたことで断りにくくなった消費者の心理につけ込んだ手口だ。
クーリングオフできる場合もあるが、現金払いをした際、領収書をもらっていないため、業者に連絡できないまま泣き寝入りするケースが大半だ。
国民生活センターでは「希望の金額でない場合はきっぱりと断ることが大事」と話している。(2007年7月5日23時15分 読売新聞)
オレの家の近所にもたまにさおだけ屋の移動販売車が来る。そんなに消耗するものでもないこのさおだけをいったい誰が買うのだろうかと思って見送るのだが、その実態がこういうものだったとはオレは今回初めて知ったのである。2本で1000円といいながら1本2万円とはむちゃくちゃである。しかも被害者は女性や高齢者が多いという。当たり前だ。もしもオレが相手なら絶対にひっかからないからである。おそらく相手を見てふっかけているんだろう。それにしてもやり方が実に姑息じゃないか。
2本で1000円という低価格商品の素材はいったい何なのだろうか。今時竹製ならかえって値打ちものである。オレなら断固としてその「2本1000円」にこだわるだろう。「安いから見せてくれと言うたんや。それ以外のモノには興味ないんや。その安いヤツを見せてくれや」「いや、ちょっとこの2本1000円の商品は品質の点であまりお勧めできませんので、できればこちらのステンレス製を」「あほか、たかがさおだけになんでそんなええもん使わんとあかんねん。それともあんた、品質に問題あるものを売ってるんか。そんなんやったらはじめからそのステンレスのヤツを宣伝したらええやろ。それはいったいナンボやねん」「2万円」「ええっ、いくらや。小さい声やから聞こえへんかったわ。ナンボや?」「2万円」「あほか、なんでさおだけにそんなにゼニ出さんとあかんねん。ぼったくりやんけ。おまえワシのこと舐めとんか。そんな高い値段ふっかけやがってあほんだら。もう二度と来るなよボケ」というやりとりになっただろう。
2006年度に639件の相談が寄せられたということは被害の実数はその10倍くらいはあるだろう。だまし取られた金額が2万くらいなら文句を言わずに泣き寝入りする方も多そうである。
さおだけ屋はなぜつぶれないか……その答えはこのように意外なところにあったのである。「ぼったくりだからたまにしか売れなくても十分に儲かるようになっている」というのがその答えだったのだ。原価1000円のさおだけを2万円で一日に1本売れば十分な利益になる。そんなところには思いも至らなかったのである。
商売というのは難しい。どうやって利益を上げればいいのか。みんな精一杯頭を使っているのである。その方法の一つに「もう切ってしまったからキャンセルできない」という押し売りを盛り込んだこの悪徳さおだけ屋が、なかなか巧妙な戦術であることは間違いない。おそらく大多数のさおだけ屋さんは良心的に商売をしていて、こんなひどいヤツらはごく一部だと思うのだが、それにしてもいつの世にもこういうイカサマ商売はなくならないものである。
このネタは昨日に読者の方からメールでいただきました。いい材料ありがとうございました。
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