江草 乗の言いたい放題
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2007年06月15日(金) 駅前留学でぼったくられるな!        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

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 駅前留学のNOVAが叩かれている。誇大広告とかぼったくりの受講料とか予約がなかなかとれないとかその実態が次々と明らかになってきているのだが、オレが不思議なのはたかが英語になぜそんな大金をみんな払うかということなのだ。そんなにゼニを使わなくても聴いたり話したり絶対に出来るようになるのだ。現にこのオレがそうだからだ。オレほどゼニを使わずに英語の勉強をした人間もないだろうと思う。

 オレは1988年の夏、単身ヨーロッパ放浪旅行(←白夜特急編)をした。日本人の全くいないような辺境の地まで旅することを決めていたので旅立つ前に必死で英語とドイツ語を勉強した。もっともその二つは大学で習っていたのでそれを復習しただけなんだが。英語の集中学習にあてた時間は約半年である。受験勉強からもう10年も経っていて、その時に身につけたはずの英語力は完全に錆びついていた。オレはNHKラジオの英語会話やビジネス英語を録音してクルマの中でのべつまくなしに聴いていた。早起きして聴き、録音しておいたのをクルマの中で聴き、学校で授業の空き時間に聴き、クルマの中で大声で発音練習をし、英語漬けの日々を過ごした。

 そのうちオレは不思議な変化に気がついた。自分のリスニング能力が劇的に向上していったのである。ラジオで流れてくる音楽の歌詞の英語が聴き取れるようになったのだ。手元にあったビートルズのテープを掛けてみると確かにそれまでは連続する音のカタマリだったのが、単語として理解できるようになっていた。半年の間集中して頭の中に文字を思い浮かべながら聴き続けた結果、ちゃんと聴いた内容を理解する能力が育っていたのである。

 1ヶ月の放浪旅行の間、オレは語学力不足で苦しむことはほとんど無かった。列車のコンパートメントで乗り合わせた異国の方とはいつも饒舌におしゃべりした。筆談や絵文字に頼ったのはフィンランドやポーランドで相手が英語やドイツ語を理解しない時だけだった。オレが半年の勉強に費やした金額はNHKのテキスト代とカセットテープ代くらいだからせいぜい1万円もいかないだろう。その程度の出費で十分なのである。

 自分で必死で勉強する気があれば、方法はどうにでもなる。努力せずに短時間で最大限の効果を上げようとしてゼニを使ったところで、学習の蓄積がないことには何の意味もないし。オレの場合も現地でいろんな会話をするときに役立ったのは受験勉強で学んだ英語の蓄積だった。どんな単語が相手の口から出てきてもオレはたいてい理解する自信があった。ウィーンに向かう車中で乗り合わせたコンパートメントで年配のご婦人の口からdisarmament(軍備縮小)という語が出てきてもへっちゃらだった。そんなのは受験の時に覚えていたぜ。受験勉強というのは怖ろしいもので、今でもオレは高校生の生徒たちが受けている単語テストをほとんど正解できる。参考書片手に必死で生徒が覚えてる内容を、オレはもう20年以上も前に覚えてそのまま忘れていないのだ。

 英語が出来るようになりたいならまず受験勉強をがんばってやれ。センター試験なんか楽勝で9割取れるくらいになれ。その上でラジオやNHK教育TVの英会話を聴きまくり、ついでにダイソーで売ってる5カ国語で聴ける世界の名作のDVD(1枚300円)でも買ってきてのべつまくなしそれを観て簡単な言い回しの聴き取りをどんどん蓄積することだ。くだらない単語集など覚えようとするな。単語力は膨大な英語シャワーを浴びた後で勝手についてくる。二流の英語教師ほどろくに英文も読んでいない馬鹿に単語をせっせと覚え込ませようとするものである。「構文と単語がわかれば英語は読める!」なんて豪語する輩もいそうだが、ことばは生き物であり論理ではない。オレはそう思っているからとにかく膨大な量に接することを心がけた。それがオレの受験勉強の時の英語への向き合い方だったのだ。

 高校生の頃を振り返れば、リーダーの教科書を予習段階で100%理解するために辞書を使って家で必死で訳したことを思い出す。速読力を身につけるために対訳形式になってる参考書を読みあさった。日本の小説をわざとペーパーバックの英語で読む。漱石や芥川を英語で読んでみる。ストーリーを知ってるから読みやすい。そうやって膨大な量の英語に接したオレは高校3年になってみんなが持っていた当時大人気の「試験に出る英単語」(通称シケタン)を買ってみた。しかしオレは深く失望したのである。そこに出てくるような単語は全部知ってる単語ばかりだったからだ。オレは膨大な英文を読みあさることで、シケタンに出てくるレベルの単語力をすでに身につけていたのである。オレはシケタンを全く使う必要がなかった。

 高校2年から3年にかけての2年間、オレはほぼ毎日英語の勉強を2〜3時間はしていたと思う。その受験勉強のベースがあったから、海外放浪旅行前の半年の集中リスニングで劇的な効果が上がったのだと思っている。ベースの部分がない人間にはオレと同じ方法はおそらく使えないだろう。

 最近オレは源氏物語の英訳と、ディケンズの「二都物語」のペーパーバックをよく読み返す。「二都物語」は翻訳で読んだときに「もとはどう書いてあるのだろう」と興味を持ったから買ったのである。源氏物語は古典の授業に役立つかと思って入手したがさほど役には立たずオレの趣味的な興味を満たすだけに終わっている。英語力は錆び付かせたくはない。また外国に長期旅行することもきっとあるだろう。そのときに楽しい旅が出来るように語学力はちゃんと磨いておきたいとオレは思っているからである。すべての受験生諸君、そしてすべてのこれから英語を学ぶ人たちよ、ぼったくりのNOVAなんかに頼らずに安価で手に入るものをフルに活かして、がんばって英語を身につけて欲しいとオレは思っているぜ。


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