2007年01月07日(日) |
アホウドリはアホウドリだ!あほ! |
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オレは「言葉狩り」というのが大嫌いだ。言葉を無くせばそれで差別がなくなると思ってる馬鹿が多すぎるのだ。この世には無数の差別語が存在する。「ブス」「デブ」「ハゲ」「チビ」「バカ」「アホ」「タワケ」などである。ブスという言葉を使用禁止にしたからこの世からブスが雲散霧消して、世の中に美人だけが残るかというとそんなことはあるわけげない。言葉を消滅させてもやはりブスは存在するし、美人が得をするようにできている文化や社会の構造を考えればそのような差別語の存在はもはやどうしようもないのである。
もしも変えられる部分があるとするなら、それらの語を「差別語」と認識する価値観の方だ。「デブ」や「ハゲ」がなぜいけないんだ!「デブ」はたくさん食べることができる=豊かさの象徴!「ハゲ」は男性ホルモン過剰=絶倫の象徴!と開き直ってしまえばいいのである。そして「アホ」という言葉のどこが差別語なのかと言いたいのである。関西で「アホ」と言うとき、それは「愛すべき存在」という親しみをこめて使うのだ。同棲してる彼女が買い物をしたのに釣り銭をもらうのを忘れて帰ってきたとき、「おまえアホやなあ」と突っ込む男性のことばは慈愛に満ちている。「アホか」と気軽に言い合えるカップルはたいてい長続きする。つまり「アホ」とは愛すべき対象に対して用いることばなのだ。ところがそんなこともわかっていない「馬鹿」がこの世には多すぎるのである。
日本鳥名鑑賞学会は、差別的な言葉を含んでいるとして、「アホウドリ」の標準和名を改名することにしたという。他にも差別語を含む鳥名をどんどん改名していくそうだ。今のところアホウドリに代わる呼称として「ムボウビドリ」「ヘイワドリ」というものが考えられてるという。これに合わせたかのように日本魚類学会でも「バカジャコ」「イザリウオ」などの差別的な言葉を含んだ魚の標準和名を改名することにしたとか。今回改名されるのは、日本魚類学会標準和名検討委員会が差別的と判断した、「メクラ」「オシ」「バカ」「テナシ」「アシナシ」「セムシ」「イザリ」「セッパリ」「ミツクチ」の九つの語を含む魚で、日本産の魚類約3900種のうち30種が対象だとか。そうなると「メクラウナギ」も「バカガイ」も使えなくなるのである。
これまでみんなに愛されてきた呼称を廃止していったいどんな名前を付けるのだろうか。そもそも「バカガイ」の「バカ」というのは「馬鹿」ではなく「破家」という説もある。殻が薄くて割れやすいから「破家貝」と呼んだからそう名付けられたのだとか。そんな由来も無視して「音」だけで差別語と決めつけるのは無茶苦茶である。
この改名の理由として「見聞きした人を精神的に傷つけたり、不快感を与えたりすることがある」ということがあげられてるが、「アホウドリ」や「バカガイ」という名前を聞いて精神的に傷ついたり不快感を感じるような「アホ」や「バカ」がいるとしたら、そいつらこそ正真正銘の「アホバカ」だとオレは言いたい。アホウドリだって好きでそういう名前を持ってるわけじゃないんだ。昔誰かが勝手にそう付けたからその名前が定着しただけであり、もしもアホウドリが人間のような知能を持っていて、こんな差別的な名前を付けるなんてひどいじゃないかと抗議してくれば初めて改名を検討するに値するが、そんなことはありえないだろう。
モノの名前というのは単なる記号であり、それ以上でも以下でもない。「アホ」とか「バカ」というのはきわめて簡潔でわかりやすい普通名詞であるとオレは高く評価している。外国人に日本語を教えるときは必ずそれらの語句をオレは最初に教えているくらいだ。
今回含まれている語句の中には「イザリ」というもはや死語になったことばも存在するが、「イザリ」」が何なのか説明できる若者がいったいどれだけいると思ってるんだ。そんなことばはもはや現代人にとって古語じゃないか。そうやって古語まで規制するのならちゃんと「ヲコ」も含めろよ。なんだ、「ヲコ」を知らないのか?「ヲコ」というのは漢字では「烏滸」と書いて「アホ」という意味の古語だ。ちなみに現代語で「おこがましい」というのはこの「ヲコ」に由来することばだ。それにしてもいったいどんな言い換えをしてくるのだろうか。「メクラウナギ」を「視覚障害者ウナギ」と呼び、「アホウドリ」を「思考能力不自由鳥」にでもするのだろうか。言語文化の破壊もここに極まれりだぜ。
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