2003年08月13日(水) |
税金でこんなもの造りやがって、馬鹿 |
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北海道の日高地方を流れる沙流川の流域はアイヌ民族の聖地である。アイヌ民族の血を引く多くの人々が暮らしている。伝統行事であるチプサンケ(舟おろしの儀式)を行っていた渡船場もあった。そこに建設されることになった二風谷ダムのために土地を奪われることとなった二人のアイヌの地権者、貝沢正さんと萱野茂さんは自分たちの土地を売ることを拒んだが、その土地は強制収用されてしまう。二人は札幌地裁に収用の裁決取り消しを求める訴訟を起こした。
1997年札幌地裁はアイヌ民族の先住民としての権利を認め、ダム建設の強行は違憲であるという判決を下す。しかし、その判決はすでに完成していたダムを撤去すると言う強制力を持たず、アイヌの聖地は水没してしまったのである。
このダムの建設の主目的は苫小牧東部大規模工業基地(苫東)への工業用水の供給とされていたが、開発計画の頓挫で工業用水は不要になった。ところがダムは目的を変更し、治水・潅漑・発電などの不要不急の目的に変えられて、広大な空き地と化した苫東を横目に無意味なダムエ事だけが進められたのである。要するに「ダムを造ること」がダムを造る目的だったのである。まさに利権にたかる土建行政の象徴みたいなものである。
また、水没地の多くが実は「北海道旧土人保護法」に基づくアイヌ給与地だった。いったんアイヌに提供した土地を、開発の名のもとに日本政府は一方的に取り上げたのである。
この夏、台風10号がもたらした豪雨はこの二風谷ダムも襲った。ダムの水位はどんどん上昇した。北海道開発局はダムの決壊を防ぐために緊急放水を行い、下流の住民6500人は緊急避難した。ダムの放水と豪雨による増水で堤防は決壊寸前だった。もしもダムがなければ、流域の住民はわざわざ避難する必要もなかったはずである。そもそも1000億近い税金を浪費してこのダムを建設しなければならなかった理由はいったい何なのかと理解に苦しむのである。土地収用前に水没地の一部を某商社が買い占めてるあたり、官僚や土建屋共とつるんだせこい連中のいかにもやりそうなことである。もっとでかい台風が来たら二風谷ダムは間違いなく決壊し、殺人装置として機能していたはずである。なんとも恐ろしい施設である。
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