2005年12月03日(土) 明日が怖いことって・・・ある??

今日は後輩が泊まりにきた。
まーよく泊まりに来るやつで、
わざわざ50kmも離れたところから山を越えて、
ここまでくる。
ウザイんだが、やっぱりかわいくて、
俺にとって大切な後輩の一人です。

声に出さずに僕を思ってくれる人もいれば、
声を出して僕を思ってくれる人がいる。

コイツは声を出して僕を思ってくれているんだと思う。

仕事が終ると呑みに行く。

メンバーは、
山・シャープさん・よしみさん・今更さん・ミツコシ・俺

まぁアダ名ばっかです。

二件廻ったんだけど、
後輩のミツコシがぼろ酔い。

歩くのもままならないで、
声もろれつが廻らない。

僕は呑んでる最中も途中からコンタクトが痛くて痛くて、
だから酔いどころじゃなかった。

それに就職してから呑む日が多かったから、
慣れたってのもあるだろう。

飲み屋を出て、
山家に泊まりに行く。
後輩は泥酔。

何を言っているのかわからない。


山家に入る。
後輩倒れる。

蹴る。

起きる。

トイレに駆け込む。

・・・。

ゲロ。

便器の横で倒れる。
それを見て容赦なく笑う俺。

俺もそういうのあったあった。うんうん。
酒は本当にいいものだけど、
だけど、たまに凶暴すぎるよな。

マジ耐え切れやんくらい気持ち悪くなるよな。

吐くのも独特の咽通りや嗚咽感
最低な気持ち。
鼻からも出るし、
咽が破裂するんじゃねぇかっていう逆流感。

でもねーアレやっちゃうと、
あとから笑えるんだなぁ。

思い出すたびに笑える。

記憶飛ぶし、周囲に迷惑かけるけど、
全員酒飲んでるからむちゃくちゃ。

で、ミツコシはそれからも吐く吐く。

俺はゲラゲラ笑いながら後ろから蹴る。
たまに背中をなぜるふりして、
グーでドン!

HAHAHA

鬼先輩です。

口の周りがゲロまみれの後輩。


それを笑う俺。

自分も酔っててわけわからん山。

もう現場がイリュージョンです。

ミツコシが吐くだけ吐いたら
便座にほっぺたつけて寝始めた。

こらぁぁ!

蹴る。
便座から落ちる。

また吐く。

そして、ずっと何かぼやいてた。

そして、気づけば、泣いてた。

山は毛布を便所まで運び、
とびちったゲロをトイレットペーパーで拭く。

俺は寒かったけど、ずっと横で彼の嗚咽と、泣き声を聞いていた。


初めてだった。
ヤツが泣いているのを見るのが。

きっと誰も知らない顔だろう。

親父が死んだ時も見せなかった。
決して電話でも気づかせないようにしていた。

そのヤツが泣いていた。


「今日は本当に楽しかった。
 皆といれてよかった。
 みんなで飲めて楽しかった。
 最近こんなことなかった。
 就職活動が辛い。
 親父代わりのお兄ちゃんが僕を認めてくれない。
 社会福祉士の勉強が辛い。
 考えられない。
 どう生きていいかわからない。

 お金のことは僕なりに分かってる。
 僕は遊んでばっかりいたし、
 何も資格もない。
 だけど、たくさん何か手にして、
 大切な後輩ができて、
 僕は今必要とされている。
 はじめてなんだ。
 やっと築けたんだ。
 
 僕なりに精一杯がんばってる
 僕なりに精一杯考えてる。

 嗚呼・・明日からどうしよう」

くだらない悩みばかり話してきて、
いつも大事なことを俺に言わない。

きっと俺を一番慕ってくれているのに、
だからこそ俺に言わなかった。

俺が卒業する時は泣くの我慢して必死に堪えていた。
どんな時でも一緒にいてくれた。
俺が一人の誕生日の時は必ず側にいた。
就職試験の前の日は電話で俺を励ましてくれた。

今の彼女ができた時は俺以上に喜んで、嬉しいと泣いていた。


親父が死んで、
お前はどう思っていたんだろう。

親父が死ぬ前、親父はお前の記憶すらなくて、
ゴムボールを病室で二人で投げ合っていたと聞いた。


お前はどんな気持ちで生きていたんだろう。

「明日が怖いなぁ」

お前はゲロまみれの顔で言った。


俺は酷く心に穴が空いて、
俺はどうなんだと考えてみた。

そして、お前のことを。


人は、どうして生きるんだろう。


どうせ死んでいくのに、何故築こうとするんだろう。

何故人より上をいこうとするのか。

何故「変えよう」とするのか。

何故生きがいが必要か。

今より以上が何故必要か。


俺はゴールについたわけでもなく、
またスタート地点にいるのに、何故明日に怯えないんだろう。

明日死ぬかもしれないという覚悟で生きられていただろうか。


お前の悩みはとてもくだらない。
しかし、それが今のお前で、今の俺だ。

お前にとっては辛いよな。
馬鹿にせずにそう思う。

もっと考えろと、お前を立ち上げて殴りたかった。

でも、便所で寝てるお前は健やかで、
これでいいとも思えた。


なぁミツコシ。
人生って辛いのに、何故頑張ろうとか思うんだろう。

死んでしまえば一番楽なのに、
こうやって懸命になっている理由ってなんだろう。

何も考えずに生きられればそれが一番楽なのに、
どうしてもこうも普通に生きられないのか。

満足とか幸せとか喜びって、すごくくだらないものなのかも
しれないね。


だけど、俺な、いつもお前にも言うてるで。


お前の親父がお前の背中で、「笑っていること」なら
なんでもしたらええと思う。

不安にさせることは悪いことじゃない。

立ち向かわねばならぬ時もある

大切なものを守れるように、
力を欲することもあるんだ。

生きる理由なんて難しくてわからねぇ。

親父が死んだ今のお前の状況を把握することなんて
俺には毛頭できねぇ。

だけどさ、やっぱお前が悲しいと俺も悲しいよ

なんでだろうな。


俺も答えみつからねぇし、
お前にどう言ったらいいのかも正直わからねぇ。

でも、いつでもお前がそうしてくれたように
俺も側にいるからな。


本当にお前のこと大好きで、大切なんだ。


 past    will


sk6 [手紙] [Ai to U]

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