「アンタが働きすぎやから、
　新人入ってこやんのやんか」


誉められたのかどうなのかよくわからん一言だったけれど、

今の俺がどれだけ働けているか、
会社に貢献できているかを知る、
良い指標になったと思いました。

僕の指導役の先輩に言われたんですが、
この道１０年のベテラン。
それなのに、教育係になったのは、
僕が初めてらしい。

女性。小柄。

「ソフトクリーム食べてええ？」

とか言う先輩。
可愛らしい人。
だけど、怒ったら手がつけられません。

課長、常務、社長にいたるまで、
何だって言いまくります。

そこがまた好きでもある。

いい先輩だと思ってます。

「ここのアイスクリームは・・・固いな」

流石。
三重県の名産、大内山牛乳で出来た
ソフトクリームを極めた(扱ってる店全店廻った)だけのことはある。


俺の仕事ってのは、給料が高いとはいえないし、
モット楽なことなんてきっとある。
だけど、だけど、それを選ばない。選べないのは、
俺がこの職場が好きだから・・・が一つの理由だろう。

休みない。
残業多い。
平均帰宅時間はゆうに１０時越えてる。

もっと楽なことはきっと選べた。
だけど、選ばなかった。

それが俺のしたいことだったのだから。


俺、がんばってるって思ってた。
結構やれるだけのことはしてるって。

今日、他の系列の会社行った時、

「ソチラさんの新人さんはどうですか？」

って言われた。

僕はもう一人で取材に行くのは５月から行ってるし、
アナだって６月からしてる。

他の局ではありえないらしい。


確かに人手不足ってのがある。
辞めていった人が多いし、
意外？に、この業界は女性が多かったりする。

しんどいだけにやりがいもあるけれど、
女性がいいのは、
定期的に辞めていくからだろう。
つまり、結婚。

しかも、皆美人(テレビに出る人だもんね)。

そりゃ結婚する。
辞める人も多い。労働条件厳しいし。

その局では、まだ一人で出してないらしい。
出せないらしい。

人と比べても仕方ないけれど、
やはり嬉しいものだ。

俺にはできてるぜ！ってことが。

「まぁ・・・ようやってんちゃいますかー」

先輩はそういってくれた。
自慢気に。

んふ。嬉しいぞ。んふ。

だって俺がんばってんもん。
結構意外にギリギリやったりするもん。
気合で乗り越えてる部分あるもん。

そら仕事１８時間とかしてたらそうも思うやろ。
一日やぞ。
普通２日ならまだしも。

任せてちょんまげ。

今までもっと辛かったことあったから。

楽勝じゃんとも思ってない。
勿論、楽しいだけじゃない。
辛いことの方が多いかもしれない

だけど、ヤバイなぁ。
楽しいんだ。

「ようやってんちゃいますかー」

嬉しいなぁ。んふんふ。

先輩は僕に「ごめん」と言った。
他の会社だったらもっと丁寧に教えてるのになって。

アンタは、ぶっつけやしなーって。


俺はそれでいいのよ。
常に気合入れて仕事したいのね。
息も忘れて、カメラまわしていたいの。

ミコシの担ぎ棒にぶつかってでも、
視聴者に良い絵を届けたいの。

だって、
「いつも見てるよ」
「これもってき」
「がんばってるねー」

言われたらさ、がんばらんわけにいかんもんな。


やっぱ、がんばってることって伝わってるじゃん。

真剣にしたら報われるじゃん。
何も考える必要なんてないじゃん。

やればできるじゃん。

そう信じていきている。
それが叶わない世の中なら、俺は生きていられない。

俺ができる精一杯を常にしなければ。
妥協なんてできない。
たるんでしまうことがないとはいえない。

だけど、出来うる限りは、俺は生きなきゃ。

感動を伝えて、また誰かにもらって。
そういう中で生きていたいんだ。

それでいいんだ。

毎日、幸せだ。

辛くても、幸せだ。


「辛い」は「幸せ」に限りなく近い。